福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -015/038page
いえないが,学校生活に魅力を感じなくなれば,怠学傾向を加味して,反社会的行動を表出しやすいので注意したい。
3. C類型は中学生で2番目(30.6%),高校生で3番目(12.9%)に出現して括り,このことは中学生と高校生の大きな差異である。
(3) 性格特性
Y-G性格検査では,6つの因子と12の性格特性をみることができるようになっている。
○情緒不安定因子
○社会的不適応因子
○活動性因子
○衝動性因子
○内省性因子
○主導性因子
抑うつ性(D)
回帰性(C)
劣等感(I)
神経質(N)
客観性欠除(O)
協調性欠除(Co)
攻撃性(Ag)
活動性(G)
のんきさ(R)
思考性(T)
支配性(A)
社会性(S)
この12の性格特性を中学生高校生別にみると次のようになる。
1. 中学生
図1 中学生のプロフイール
中学生の登校拒否児36名について,平均プロフィールをえがき,これにプラス,マイナス1標準偏差の範囲を付してみたのが,図1である。
平均からプラス,マイナス1標準偏差の範囲が,3〜4,5および3〜1,2におさまるものを摘出してみると,前者に属するものとして,I,Oの劣等感大,主観的な2特性が,後者に属するものとして, Ag, R, A, S の非攻撃的,のんきでない,服従的,社会的内向の4特性があがってくる。
このことから,自信欠乏,不適応が強く,自己中心的で,適当な自己表現にも乏しく,決断力に欠け,しゅん巡しやすく,消極的・追従的であり、引っ込み思案で,対人接触を好まないという性格特性をうかがうことができる。
2. 高校生
<図2 高校生のプロフィール
高校生の登校拒否児31名について,平均プロフィールをえがき,これにプラス,マイナス1標準偏差の範囲を付してみたのが,図2である。
平均からプラス,マイナス1標準偏差の範囲が,3〜4,5および3〜1,2におさまるものを摘出してみると,前者に属するものとして,D,C,N,Oの抑うつ性大,気分の変化大,神経質,主観的の4特性があがってくるが,後者に属する特性はあがってこない。
このことから,無気力・偏執的で,気分の変化が激しく,心配性であり,自己中心的な性格特性をうかがうことができる。3 まとめ
登校拒否児の性格特性について,Y-G性格検査をとおしては握してみた。
E類型(情緒不安定社会的不的応消極型)が多数出現していることから,神経症的傾向の見られる生徒に対しては,情緒的な緊張,不安の状態より解放してやることが重要な鍵になろう。また,登校拒否児は,心の許せるような友だちがいない,運動を好まない,消極的であるなどが共通の欠点としてあげることができる。従って,指導援助にあたっては,これらの諸要因を十分にふまえて,個人に適応したカウンセリングが強く要請されるのである。