福島県教育センター所報ふくしま No.47(S55/1980.8) -005/034page

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小学校教材

「衣服の着方」の指導

−被服材料の保健衛生的な性能の指導資料−

科学技術教育部   佐 藤 清 子

1 はじめに

 第5学年の被服領域の指導目標は,「布を用いた 身のまわりの物の製作と,日常着の簡単な手入れが できるとともに,保健衛生的な着方を理解させ,身 なりを整えることができるようにする。」ことである。

 日常着の着方では,気温や季節に応じて,どう着るのが適切かという面から,自分の着方を見直させ,衣服の繊維や色,形,重ね方等を考えさせる。また一日の中での昼と夜,家の中と外での気温の差によって衣服の調節の仕方がわかり,快適で衛生的な着方ができるようにさせたい。

 快適で衛生的な着方を理解させるための科学的理論の裏づけとして,被服材料の保健衛生的な性能に関する実験を試みたので,必要に応じて図表などにし,具体的な資料として活用してほしい。

2 衣服の着方についての自動の実態

 四季の変化に富んでいる日本では,季節の変化に対して,気温に適した衣服の調節をすることが健康を保つうえで重要である。

 衣服の着方についての児童の実態をは握するため に,福島市立野田小学校の八巻チエ先生に依頼し, 5年生に衣服の着方の学習前に調査していただいた 結果は次の通りである。

  調査人数 男子18名,女子18名 計36名

(1)朝起きて着る衣服はどうしていますか。

要   因 男子 女子
自分でそろえておく 15名 16名 31名
家族がそろえておいてくれる 3 2 5

(2)朝,どの衣服を着るか決めるとき,どんなことに気をつけていますか。答は2つ以内とした 

要   因 男子 女子
寒いか,暑いか 13名 12名 25名
晴れか,雨か 2 0 2
好きな色,形 4 2 4
汚れぐあい 3 11 14

(3)自分の日常着の入れ場所は決まっていますか。 

要   因 男子 女子
決まっている 17名 18名 35名
決まっていない 1 0 1

(4)日常着を自分で出し入れしますか。

要   因 男子 女子
自分で出し入れする 13名 16名 29名
家族が全部してくれる 2 1 3
ハンカチや靴下などの小物だけ自分で出し入れする 3 1 4

(5)衣服を着ていて困ったことがありますか。

要   因 男子 女子
朝昼の気温の差 12名 13名 25名
ボタン・ファスナーがとれて 6 12 18
ほころび 9 7 16
すごく汚れて 10 6 16
小さくてきゅうくつ 7 6 13
ポケットがない 6 4 10
セーターがチクチクする 7 3 10
大きすぎる 6 3 9
ポケットに穴があいていて 3 1 4

 実態調査結果から見て,児童の被服生活は,母親 によって保護されている中で,児童が自分の被服生 活を主体的にしていることがうかがえる。

(1)の朝起きて着る衣服を自分でそろえておく児童 は86%で,そこに「きょうは,どの上着を着て,どの 靴下をはこうか」というような児童の主体的な判断 が生まれてくると思われる。

(2)の朝どの服を着るか決めるとき,どんなことに 気をつけるかでは,寒いか,暑いかなど選択の基準 が外的な要因によるものが43%,汚れぐあいなど衣 服そのものによるもの51%,色・形など自分の好み


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