福島県教育センター所報ふくしま No.47(S55/1980.8) -012/034page
考えてみますと,計画の立案の段階から子どもの主 体的参加を配慮しつつ,年間計画としては秋の運動 会までの期間を月別に,たとえば4月の学級会には 何時間を運動会に関連のある時間にするか,また、 5月には何時間を学級指導の中で運動会に関連のあ るものに割当てるかなど,予想される運動会の課題 を各月の学級会,学級指導,児童・生徒活動等に設 定しておくようにするならば,特別活動の各内容は, それぞれの特質にもとづく活動を行いながらまた, 相互に関連をもって展開されることになるでしょう。
〔問い 24〕学校行事の内容のとり扱いで,特 に留意しなければならないことはどんな点でしょう か。
〔答え〕 学校行事の多くは,その特質から みて,かなりまとまった時間をあてて実施するのが 普通です。また,多くの生徒を,同時に対象とする 教育活動でもあるので,効果を十分発揮させるには 綿密な指導の計画が必要です。留意すべき事項の全 体を箇条書きであげてみましょう。(但し,実施に あたっては,以下のとり扱い上の留意点の中から, 行事の内容や種類によって,強調すべき留意点を焦 点化し,行事の特色を生かすとり扱いが必要です。)
(1)学校行事の目標を達成するのに,ふさわしい活動を精選する。
従来から行われてきているものであっても,現在の諸条件に必ずしも適合しないと思われるものは除き,学校行事のもつ教育的意義が十分発揮できるように努めるべきです。
(2)学校が自主的に判断し調和のとれた指導計画を作成する。
学校行事の計画にあたっては,地域社会の生活との関連を考慮したり,共通の行事を取り入れて実施することも教育上意義のあることですが,あくまで学校の自主的選択でなければなりません。
(3)児童・生徒が負担過重にならないよう,時間的配慮を適切にする。
ある時期に多くの学校行事が集中することになれば,子どもに負担の過重をもたらしたり,学校生活に落ち着きをなくしたりして,むしろ好ましくない影響をもたらすことになりかねません。
(4)特定の行事に固定化しないように,変化とリズムをもたせるよう工夫する。
学校行事のもつ意義を失い,形式に流れることのないように留意し,児童・生徒が常に興味と関心をもって,積極的に参加しうるよう,内容や活動に工夫を加えることが必要です。
(5)健康・安全にかかわる学校行事については,事前の措置を万全にする。
大規模の集団で行われる教育活動の場合には,児童・生徒の発達段階に大きな差があることを細かに配慮することも大切です。
(6)児童・生徒の自発的,自治的な実践活動が可能な限り行えるよう留意する。
(7)教科・道徳及び学校行事以外の特別活動の内容との関連や調和に留意すること。
単に時間的調整という観点からだけでなく,自校の教育目標との関連において考えることが大切です。
(8)集団活動においても,個が生かされるよう配慮する。
(9)事後指導や結果の評価を適切に行う。
(10)活動しやすい指導計画を作成するように考慮する。
行事の種類によって違いはあっても,少なくとも,計画には,目標・内容・方法が明らかになっていなければ,活用しやすい計画とは言えません。