福島県教育センター所報ふくしま No.47(S55/1980.8) -019/034page

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4. 結果の考察

ア. 事前テストの結果をみると,「火が燃える ためには空気が必要であること」「酸素は火 が燃えるとき関係すること」「二酸化炭素中 では火が燃えないことや石灰水が白濁するこ と」等は,先行経験として知っている子が多 い。したがって,問題の1,2,7,12,13 などは,事前事後テストともに正答率は高い。 指導の結果も90%〜100%まで理解が深められた。

イ. これに対して,問題3,8,9,14,15, 16などの「なぜそうなるのか。」「どうしてか。」 という原因を考えるものやモデル図を書く問 題は,事前テストの正答率は10%以下である。 未習事項であるから当然であるが,事後テス トの結果も関連して低い。しかし,80%台の 正答率と70%以上の有効度指数からみて,変 容は認めることができると考えられる。

ウ. 全体的に有効度指数からみると,問題17, 20をのぞいて70%以上の結果であり,変容が みられた。

エ. 酸素,二酸化炭素をとり出すための薬品名 は,日常あまり聞きなれないためか忘却度が 高いので,印象づける指導が望まれる。

オ. は持率について考察してみると,全体的に 高い率を示しているので,モデル化,討議学 習が理解と思考を深め,効果をあげていると 考えられる。

(3)結  論

 検証授業の観察,事前,事後,は持テストの結果から,次のようなことが考えられる。

1. 討議学習を意図的,計画的に指導過程に位置 づけて訓練した結果,子どもたちの個人思考, 集団思考の活動が活発になり,説明伝達の力が 高まり,理解思考に深まりが認められた。

2. 目に見えない事象や変化の原因を追求する学 習では,子どもたちの話し合いや思考の手がか りになる資料(モデル)を導入すれば,学習活 動が活発になり,思考が深まり理解の定着がよ りたしかなものになる。

3. 学習の能率化という点から考えて,絵や図や 表などの書き方やモデルの考え方を,学年の発 達段階に応じて指導しておけば,効果があがる ものと考えられる。

5 反省と問題点

(1)評定尺度(自作テスト)の作成に当たって,推 論する力とか,思考の深まりをどう評価するかが むずかしく,評価内容(問題作成)の検討が不十 分であった。一応,思考の深まりを文章記述とモ デル図からみるように考えてみたが,果たして客 観性,妥当性があるか疑問である。

(2)子どもたちにモデルの必要性を気づかせ,モデ ルで考えさせるといっても,モデル化のための基 礎となるべき知識は,きちんと身につけさせなけ ればならない。すなわち,理科の学習では何を話 し合わせ,何を考えさせるか,そして,何を教え るかをはっきりとおさえておくことが大切である。

(3)検証の結果を一度だけの授業や単元指導から結 論づけることは無理であるが,指導の一方法とし て有効であることがわかったので,今後,他の単 元で更に研究を深めていきたい。

6 参考文献

お詫びと訂正

 所報No.46号に下表の通り誤りがありまし たので,お詫びして訂正いたします。 

 誤    正    ページ 

村上晴彦―>勝 彦  表紙裏
福   島―>福島一    P19
駒   塚―>駒ケ嶺    P32
白   石―>臼 石    P33


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