福島県教育センター所報ふくしま No.47(S55/1980.8) -021/034page
学校経営
校 内 研 修 の す す め 方
― 教師集団のモラールを高める ―
経営研究部 佐 藤 武
1 学校経営の中に校内研修をどう位置づけるか
学校教育では,教育課程をはじめとして,学習指導法,教授組織,施設・設備などの諸条件の改善が図られることはもちろん,それらを総合的,しかも縦続的に運営していく経営活動の機能が有機的に働き,経営の効果があがるように最速状態をつくりだす努力がつねに必要である。
学校経営の重要なポイントは,教師集団の組織 活動である。学校が教育の目的達成を図るために は,その構成員である教師の高いモラールに支え られていることが必要であって,教師集団の疑集 性や集団意織に大きくかかわってくる。また,注1)『 教育の本質にかかわる研修活動が組織的に進めら れ,教師が積極的な研修意欲を持つことが,教師 のモラールを高める上できわめて大事である。』と 言われているように,教師集団のモラールと校内 研修との関連は深いものがある。
当教育センターの『学校経営(A)(B)講座』に参加 した研修者(過去5年間延ベ305名)の研究主題 を類別してみると,図1のように約40%の教頭・ 主任等が校内研修に関することを研究主題にえら んでいる。このことは,学校教育の改善や学校経 営の機能的な働きを准進するうえで,教師集団の モラールの向上が重要であると言う期待感のあら われであろう。
注2)学校経営は,それを基礎的な条件に細分化して 断片的にみていく静態的な考え方から,有機的, 継続的な組織相互の関連・整調の機能を重視する 動態的な考え方で見直すことへの切りかえが要請 されている。学校経営改善における校内研修のす すめ方も,このような視点から見直す必要がある。
2.校内研修の間題をとうとらえるか
注3)校内研修上の阻害点については,全国調査,本 県調査もほぼ同じ傾向を示す結果が報告されてい る。また,昭和55年度『学校経営(A)(B)講座』の主 題研究の計画書(校内研修に関する研究主題を選 択した研修者20名のあげた問題点)の調査結果も 図2のようであり,大きな違いは見つけ出せない。 ここで留意したいことは,これらの阻害点や問題点 のとらえ方,そして解決のしかたである。
校内研修活動の阻害点をそのまゝ取り出すと, 研修時間,研修計画,研修組戚等の観点に限定し, そこからだけ考察し,解決策をさぐる結果となり, 部分的,断片的にとらえる静態的な考え方に終始 してしまう。校内研修活動を学校経営の立場から, 教師集団のモラールを軸に動態的にとらえた場合 もっと別な観点から考察する必要がでてくる。そ のためには,阻害点,聞題点を外的要因として一 つずつ取りあげず,教師集団の凝集性や集団意織 を高める内的要因としてとらえることが必要にな ってくる。注4)大分県教育センターでは,教師集団の モラールに作用する校内研修活動の内的要因とし て,リーダーシップ,コミュニケーション,協働