福島県教育センター所報ふくしま No.47(S55/1980.8) -023/034page

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意欲であり,集団のモラールとも言われている。 注10)クレッチとクラッチフィールドは,グループ ・ダイナミックスの立場から,集団のモラール を決定する要因として,次の七つを挙げている。

  1. グループに積極的目標があること 
  2. 集団の成員の諸欲求―参加,自己表出 承認への欲求などが満たされること 
  3. グループとして適度な要求水準と実績があること 
  4. 各種の犠牲や利益がメンバー間に公平に分 かたれること 
  5. メンバーに団結帰属の感情があること 
  6. メンバーの間に「われわれ」感情が高く, グループとしての広い時間的展望があること 
  7. グループの一体感を高めるような手段を持 っていること

 こゝで留意すべきことは,集団の目標と個人の欲求をいかに有機的に結びつけ,一体感を醸成するかである。「研究の盛んな学校は,子どもも先生も生き生きしている。」と言われるように,課題意識や目的意識に支えられた教師集団は,充実感にあふれている様子がわかる。しかし,いかに課題意識があったとしても,教師集団一人一人の特性や欲求が満たされていなければ,一体感も協働意欲も育たない。一人一人の特性を認め,活躍できる場と機会を与え,学校の実態に応じた実動的な弾力性のある組織の中でこそ,はじめて充実した研修活動が展開されるのである。なお,協働意欲は,人間性を優先させる人間関係にも大きく関連してくるので,集団への所属感満足感,安定感など心的な面にも気を配り,インフォーマルな組織や活動も重視することが必要である。

 教師集団のモラールを高める校内研修活動のすすめ方について,三つの内的要因から考察してきたが,こゝでもっとも大事なことは,それぞれの要因がそれぞれの条件に支えられながら,その機能を発揮することと同時に,三つの要因が相互に関連し,調整しあって有機的に結びつき,機能的に働いたときに,その効果が一層高まると言うことである。

 さらに,研修活動は,日常の教育活動と結びついてこそ価値があるのであって,研究のための研究授業であったり,子ども不在の研修活動であっては意味がない。学校の実態や組織メンバーの構成を十分は握し,無理なく無駄なく日常的,縦続的な実践の過程を大事にしたいものである。

4.これからの校内研修

 新教育課程の実施とともに,校内研修の果たす役割は大きくなる。単に教師のための研修だけでなく,子ども達の教育と直接かかわる内容や方法とも関連してくるからである。具体的な校内研修の課題について挙げてみたい。

(1)注11)教育課程に迫る校内研修

1.教育課程の趣旨を生かすもの 

2.教育課程の内容を生かすもの 

(2)教育の今日的課題にこたえる校内研修

  1. 主体的な児童・生徒の育成に関するもの  
  2. 個性・能力に応じた教育に関するもの  
  3. 創意を生かした教育活動に関するもの  
  4. 自己実現の援助・指導に関するもの

 

注1 「教育用語事典」第一法規(「教師のモラールに関する調査」国立研究所)
2 「新しい学校経営の条件」学陽書房     原 実著  
3 「研究紀要」日本教育会3号・福島県教育センター  No.17(現職研修に関する調査) 
4 「研究紀要」大分県教育センター (「学校経営最適化に関する基礎的研究(I)」)  
5 「リーダーシップ」ぎょうせい          後藤敏夫著  
6 「リーダーシップ」ぎょうせい          後藤敏夫著  
7 「研究紀要」大分県教育センター (「学校経営の最適化に関する基礎的な研究(I)」) 
8 「モラールとコミュニケーション」ぎょうせい  後藤敏夫著  
9 「発想法」中央公論社             川喜多二郎著  
10 「モラールとコミュニケーション」ぎょうせい  後藤敏夫著  
11 「学校運営研究」No.227 明治図書

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