福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -005/034page
(2) ゆがんだサイコロの実験(同様に確からしいとはいえない場合の実験)
これは,数学的確率が不明のとき統計的確率の近 似値を見つけるための実験である。サイコロは,木 をけずってつくった手づくりのゆがんだもので,そ の実験の結果は次の表3のとおりである。
表3 ゆがんだサイコロの実験結果 (S.55.8.8)
(注)上段・・・目の出た回数 下段・・・相対度数
目の出かた
1 2 3 4 5 6 回数 50 10 7 4 7 10 12 0.200 0.140 0.080 0.140 0.200 0.240 100 21 13 9 11 21 25 0.210 0.130 0.090 0.110 0.210 0.250 150 31 21 14 21 30 33 0.207 0.140 0.093 0.140 0.200 0.220 200 42 29 24 26 36 43 0.210 0.145 0.120 0.130 0.180 0.215 250 55 41 32 30 44 48 0.220 0.164 0.128 0.120 0.176 0.192 300 67 51 42 36 52 52 0.223 0.170 0.140 0.120 0.173 0.173 350 75 58 49 40 62 66 0.214 0.166 0.140 0.114 0.177 0.189 400 88 63 52 46 71 80 0.220 0.158 0.130 0.115 0.178 0.200 450 96 74 61 50 81 88 0.213 0.164 0.136 0.111 0.180 0.196 500 111 81 68 54 89 97 0.222 0.162 0.136 0.108 0.178 0.194 550 122 88 74 65 97 104 0.222 0.160 0.135 0.118 0.176 0.189 600 132 95 83 69 104 117 0.220 0.158 0.138 0.115 0.173 0.195 650 144 104 91 74 109 128 0.222 0.160 0.140 0.114 0.168 0.197 700 152 112 93 85 117 141 0.217 0.160 0.133 0.121 0.167 0.201 800 172 133 109 93 130 163 0.215 0.166 0.136 0.116 0.163 0.204 900 200 152 113 107 146 182 0.222 0.169 0.126 0.119 0.162 0.202 1000 217 170 134 116 165 198 0.217 0.170 0.134 0.116 0.165 0.198 また,グラフで表すと次のようである。
したがって,このゆがんだサイコロのそれぞれの, 目の出る確率の近似値は,次の表4のようにまとめ ることができる。
表4 ゆがんだサイコロの実験結果
サイコロの目 1 2 3 4 5 6 確率 0.22 0.17 0.13 0.12 0.16 0.20 統計的確率は,たとえ実験の条件を整えたとして も,有限回の実験からその値を決定することはでき ない。この実験結果から得られるものは,統計的確 率の近似値である。
そして,有限回の実験結果から統計的確率の存在する範囲を求めるのが統計学における推定の問題であり,統計的確率の値を仮に定めて,実験結果からこの仮の値の適否を判定するのは検定の問題になる。このことを頭において指導にあたる必要があろう。
そして,有限回の実験結果から統計的確率の存在 する範囲を求めるのが統計学における推定の問題で あり,統計的確率の値を仮に定めて,実験結果から この仮の値の適否を判定するのは検定の問題になる。 このことを頭において指導にあたる必要があろう。
4.おわりに
以上,確率の実験の指導について述べてきたが,授業における実験にあたっては,さらに次のことに留意する必要がある。
○ この実験で何をつかませるかを明確にする。
○ 実験の条件をできるだけ整えるようにする。
○ すぐに記録集計できるように用紙を準備する。