福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -009/034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

小学校教材

小学校における光合成のとりあつかいについて

―緑葉におけるヨウ素でんぷん反応―

科学技術教育部     宮 内 三 良

1.はじめに

 「ジャガイモの いも にふくまれているでんぶんは, 葉でつくられる」ことをたしかめる実験は,従来は 小学校6学年で行われていた。

 緑葉中につくられるでんぶんの検出法としては, アルコールで葉緑素を除き、※ヨウ素ヨウ化カリウム 液による呈色反応を見る方法が,普通に行われてい た。

 新学習指導要領によると、「植物の葉に日光が当たると,でんぶんができるものがあること」の学習は, 4学年で行うことになり,光合成を簡単に取り扱う ことになっている。

 この内容は,2学年で行う「植物を育てる世話を 通して,日当たりの良い悪いが成長に影響すること 」の学習経験から,「 いも にはでんぷんが含まれてい て,成長するための養分として使われていること」 へ関係づけてとらえさせている。

 緑葉におけるでんぷんの検出について,葉緑素をアルコールなどで除かないで行うヨウ素でんぷん反応と,従来行われてきた方法について検討してみよう。

2.ヨウ素でんぷん反応について調べる

(1)試験管に.でんぷんを少量入れ,水を加えてふり,ヨウ素ヨウ化カリウム液をスポイトで2〜3滴入れ,静置して呈色の様子を見る。

   ・水に溶けないで浮遊しているでんぷんは,青紫色に染まる。

(2)別の試験管に,でんぷんを少量入れ,水を加えてふり、アルコールランプで突沸に注意しながら,熱してみる。

   ・でんぷんは約60〜70℃でのりになるので,粉は見えなくなり透明になる。

(3)その試験管を水で冷やし,ヨウ素ヨウ化カリウム液を加える。

   ・液全体が青紫色に変化する。  

(4)これをもう一度熱してみる。

   ・液の青紫色が消える。冷やすと色が出る。

ヨウ化カリウム  
ヨウ素       
水        
1.5g
0.3g
100ml
原液とし,使用時に水で8〜10倍にうすめる。

3.緑葉内のでんぷんの検出

  (実験1) すりつぶし法で調べる方法

 ――葉のしぼり汁でたしかめる方法――

 -1.よく日光の当たった葉をとり,こまかくきざみ,乳鉢(ばち)ですりつぶす。  

 -2.すりつぶした葉の入っている乳鉢に,水を少量加えよくかきまぜ,すりつぶした葉を洗い出す。

 -3.うすまったしぼり汁を試験管にとり,アルコ ールランプで突沸に注意しながら,熱して見る。一度沸とうしたら,熱するのはやめる。  

 -4.しぼり汁を, ろ紙 でこす。  

 -5. ろ液 が冷えたら,ヨウ素ヨウ化カリウム液をスポイトで2〜3滴加え,静置して呈色の様子を見る。

 この方法は,操作も比較的簡単であり,低学年での学習経験(葉,花,実などの色や汁)を生か  すことにもなる。アルコールという要素が,学習にも入りこまず,4学年の段階でも問題がないよ  うに思われる。

  呈色反応が青色を示さないで.赤〜赤紫色を示  したりする植物があったり,しぼり汁が ろ過 しにくい植物もあることに注意したい。

  天候(曇天,雨天)にかかわらず,呈色反応がはっきり認められる都合のよい方法でもある。

  (実験2)おひたし にして調べる方法

 -1.よく日光の当たった葉をとり,軟らかくなる


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。