福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -011/034page
(実験4) 従来から行われている方法
―葉緑素をアルコールで除いて調べる方法―
-1.よく日光の当たった葉をとり,軟らかくなる まで煮て, おひたし の状態にする。
-2.アルコールを湯せんであたため, おひたし に なった葉を入れ,葉緑素がとけ,葉が白くな るまで弱く熱してやる。
-3.葉緑素がぬけたら,葉をとり出し,水でゆす ぎ,冷やしておく。
-4.ヨウ素ヨウ化カリウム液を入れたシャーレの 中に葉をひたし,少し時間をおく。
光合成が行われ,葉でつくられたでんぷんは 青色の呈色反応を示す。-5.葉をとり出し,水洗いをしておく。
この方法は,従来は小学校6年及び中学校理科で 行われていた方法である。県下で使用されている東 京書籍発行の教科書「新しい理科4年上」では,同 じような実験例をあげているが,大日本図書発行の 教科書「たのしい理科4年上」では,アルコールで 葉緑素を除く方法は示されていない。
この方法によれば,呈色反応はアルコールで葉緑 素を除くため,はっきりしてよいが,4学年という 児童の発達段階では,操作的にやや複雑であり,ア ルコール使用による危険性も考えられ,安全指導の 面から見て,問題があるように思われる。
4.おわりに
緑葉におけるヨウ素でんぷん反応を調べる方法を いくつかとり上げてみたが,これらの実験は,日当 たりのよし,あしが いも のでき方に影響することを 調べ,日光の当たっているのは葉であるから,新し い いも のでんぷんは,葉でできるのではないかとい う疑問が生じ,そこで葉でのでんぷん合成を調べる 場が形成されてくると思う。
葉におけるでんぷん合成のメカニズムや,つくら れたでんぷんのはたらきまで深入りする必要はない だろうが,新しい いも にできたでんぷんは,葉でつ くられたでんぷんが移動したものであることまで, 児童に推論させたいし,新しい いも の発芽,成長に よって次のいもが育っていくことまで考えさせたい。 さらに,植物は外界から無機物をとり入れ,自ら葉 で有機物として合成できるはたらきとしくみをもっ ている。このことが植物と動物の大きなちがいであ るという見方までできるようになることを期待した い。
実験の材料として,教科書にとり上げられている のは「ジャガイモ」であるが,これはひとつの例を 示したものであり,指定されたものではない。地域 に合わせ適切なものを用いればよいと思う。実験の 時期に合わせ,学校園などで栽培しておくことも必 要である。
【参考文献】
- 「第78回全理セ研究協議会生物部会研究発表集録」
- 「生物学実験法講座」
- 「理科実験図解大事典生物実験編」
次号予告(第49号)12月上旬発行
- 巻頭言
- 学習指導と教材研究
- 小中学校教材(保健・体育)
- 高等学校 (情報処理)
- 生徒指導と教育相談
- 受講者の研究報告(学校経営B)
- 北塩原村立裏磐梯中学校教諭
- 白河市立白河第二小学校教諭
- 研究実践校紹介
- アイディア紹介
- 会津若松市立門田小学校教諭
- 随想
- 資料,作品紹介
所員
所員
所員
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竹 野 文 博
小 林 俊 夫
郡山市立郡山第一中学校
石 井 幸 雄
所員
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