福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -019/034page

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    療をとり入れ,つまずきに応じた再・再々学習をさせ,ひとりひとりの目標に到達できるようにさせる。

(3)検証と考察

-1.スキルの変容

  ア 個人別到達程度の変容

表5 <表5>個人別到達程度の変容 <表5>から技能の低いグループは到達程度に達するまでに時間がかかり, また逆に技能の高いグループは早い時間に到達することがわかる。 従って技能の低いグループの指導法としてたいせつなことは安全面に留意し根気強く反復練習させ技能の向上をはかり, また少しの技能の伸びに対して賞賛してやる情意面からのつっこみがあげられる。
  • 到達程度 1段伸びた生徒    20名
  •  〃     2 〃            2名
  •  〃    変容しなかった生徒   15名
  •  〃    下がった生徒       1名
    • 1の段階→ 1の段階5名
    • 1の段階→ 2の段階4名
    • 2の段階→ 2の段階1名
    • 2の段階→ 3の段階9名
    • 2の段階→ 4の段階2名
    • 4の段階→ 3の段階1名
    • 3の段階→ 4の段階5名
    • 4の段階→ 4の段階3名
    • 4の段階→ 5の段階2名
    • 5の段階→ 5の段階6名

 イ 事前・事後テストのチェック 

事前・事後テストのチェック *<記入例の見方>教師の観察評価によリチェックし,○の数を合計らんに記入し,事前事後の変容を見る

 ウ 事前・事後のスキルの変容

<表6> <表6>事前・事後のスキルの変容 □事前
―事後

表6から,技能は少しずつ向上しているが後半部のわざをいかにまとめるかが課題である。

(特に下位グループ)

 

 腕立て前方転回の技能ポイントは,正しい倒立姿勢から転回し空中に浮いて十分身体をそり安全に着地する点にある。すなわち,とび箱上で倒立できるかできないかがかぎとなる。

 治療(再・再々指導)場面を倒立姿勢から転回する後半部において継続的に実践してきたが,中位層・下位層の一部に成果がみられた。

-2.生徒の意識の変容(一部抜すい)

 情意面で高い数値がでたことは予想以上であった。 また,治療場面で自主的に再・再々練習する学習態度と協力的な態度が身についたことは,大きな収穫 であった。

-3.考 察 

 「腕立て前方転回」のわざの構成要素を10項目に 細分し,事前テストを実施した結果,後半部の倒立  つきはなし 身体のそり 空中の浮き 着地に多 くの欠点がみられ,その部分に焦点をしぼり重点的 に診断・治療をとり入れ,授業を展開してきた。ひ とりひとりの生徒の技能・情意両面の強化をはかる 治療法として,技能面は,A・Bグループ4通り, C・Dグループ3通り,予想して準備し,情意面は, 補助者の養成,用具の安全点検と効果的な活用(と び箱,マット,セフティーマットの配置の工夫)相 互観察評価の強化と励まし合い等をとり入れ実践し た。

 さらに毎時学習カードを活用し,授業前後にその 時間の自己到達程度を記入させ,授業中は個人ごと に診断による治療(再・再々学習)をさせた。その 結果,ひとりひとりが到達程度を明確に把握し,教 師・生徒相互診断により幾通りかの治療法を通って 自主的に学習し,技能および情意面で成果がみられ, 効率的に指導できた。治療の具体場面として,1単 位時間の平均回数は,下位グループは3〜4回,上 位グループは0〜1回となり,下位グループの生徒 は技能の向上をはかるのにいろいろな練習(治療) 方法があり,また時間がかかることをあらわしてい る。

 とび箱運動の指導に当たり,安全面に十分留意し,自信と意欲をもたせることは非常にたいせつなことである。その点からセフティーマットの効果的な活用は,特に情意面の強化に大いに役立った。

(4)結 論

-1.学習カードを活用し,能力別編成による学習を通して,ひとりひとりのつまずきに応じた治療を展開してきたが,


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