福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -021/034page
研究プロジェクト状況報告
学校経営評価
文責 深 谷 克 美
1.はじめに
このプロジェクトは,学校経営の改善に関する研 究の一部として昭和53年にはじまり,3年次計画です すめているものである。
「学校経営」が,教育の中で主体的に取り上げられ, 独自の領域としての研究がすすめられるようになっ てから,教育の現場には,さまぎまの経営理論が紹 介されてきた。そしてその一部は,現代教育の実践を支える有効な方法として定着してきていることも よく知られているところである。
今日,この分野での研究の意義はますます明確となり,学校経営の民主化・合理化を目ざしての研究活動が全国的にさかんに行われてきているが,このことにともなって,学校経営に関する評価が重要視されてきたことも,当然の成り行きと考えられる。
学校経営に関する評価について,現在わが国では,「学校評価」の中であつかわれている例が多く,そのことからすれば評価は,学校教育の評価,すなわち,教育の達成度を測り,その結果を価値として見ようとする教育活動の評価と,学校教育を支援促進する条件についての評価を併せ含むとする見方が成り立つのであるが,今回当プロジェクトが取り組もうとしたのは後者,つまり「学校経営の評価」であることを明白にしたい。
経営は,組織体活動の全領域にわたって考えられるものである。したがって,学校経営の評価にあたっては,それに足るだけの実施構想をもつことおよび具体的な実施計画をたてることが前提条件となる。
従来,各学校においては,学期末・年度末等の機会に,いわゆる経営上の評価を実施してきており,成果の活用もはかられているところであるが,これが組織的・全領域的なものとして計画され,なおかつ学校経営の現代化と深くつながった結果が得られているだろうかというてんでは,若干の不安なしとはしない現在,このことについてさらに研究を深め、主体的な自己評価を実施すること及び,その結果を活用して学校経営の改善をはかることは,学校教育にたずさわる者すべてのねがいであろうと思われる。
当プロジェクトは,以上述べたようなことから,学校経営評価の問題と取り組み,学校経営評価の理論及び実例について調査研究し,各学校で自校化を基本として実施できる学校経営評価の方法・要領を試案として提供するため,研究をすすめてきた。
以下,プロジェクトの経過をたどって状況を報告する。
2.研究の概要
当プロジェクトにおいて最終的に目ざすものは,学校経営を評価するための評価試案の作成である。
この目標を達成するため,研究の過程で解明する項目及び,関連があると予測される項目を次のようにおさえている。
(1)学校経営に関する諸理論の研究を通して,教育の実際に即応した学校経営観の樹立を図ること。
(2)全国各地の教育機関等によって行われている先進的な研究例(学校経営評価試案)の精査を通して,学校経営評価改善の方向性及び,評価の実際における問題点等をは握すること。
(3)当教育センターが研究事業の中で過去においてまとめた学校経営に関する諸資料及び,学校経営評価と研究的に取り組んでいる学校の実態を調査・検討することを通して,学校経営評価の領域・内容・方法等について研究の手がかりをつかむこと。
(4)学校経営評価を研究的に行っている県内の小中学校と協同研究することを通して,学校経営評価についての基本的な事項をおさえ,学校種別や経営の重点等にも適応できる学校経営評価試案を作成すること。
以上を研究領域として重点的に位置づけ,3年間の期間設定をして,各単年度間の研究区分を次のように設けている。
○ 1年次研究
(1)学校経営理論の研究
(2)全国各教育センター・教育研究所等の学校経営評価研究内容の検討
(3)学校経営評価実践例の収集・事例分析・問