福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -022/034page
題点等の整理。
○ 2年次の研究
(1)学校経営評価構想の樹立
(2)学校経営評価構想を基本とした研究協力校による実践及び実践結果の考察
(3)学校経営評価試案の作成
○ 3年次の研究
(1)学校経営評価試案の検証
(2)研究のまとめ
3.研究の経過
学校経営の改善を目ざした学校経営評価の研究 に取りかかった初期の段階では,下記の(1)〜(3)のことを重点的に明らかにしようとした。以下その経過を述べる。
文献による研究及び,プロジェクトチーム自身の研修を通して学校経営概念の整理にあたったが,その中で,現在,教育現場に見られる経営概念の 理解についてさまぎまの差異を生じている起因を明らかにすることが必要だった。そのためにとりあげた項目・内容はおおよそ次のようなものであった。
(1)学校経営研究のいろいろな立場のは握
<研究上の立場のちがい>
- 法規主義的な学校経営研究― 学校経営の根拠を現代法学的法解釈に求め,法の適正な運用と行政的課題解決に主眼を置くものとして。
- 経営学的な学校経営研究― 合理的・能率的な経営と管理の組織と運営を実現するものとして
- 社会学的な経営研究― 学校教育を形成する社会的体制とその諸要因を解明し,国民(住民)の意志を反映した学校運営の方法解明策として
<学校の自律性に対する見方のちがい>
- 行政管理的立場― 法令解釈を基礎として
- 教育委員会を経営の主体とみなす立場― 地域的総合性に基づく経営の見方
- 学校を経営の主体とする立場― 独自の社会的教育組織体とするとらえ方
- 社会的教育自治論の立場― 学校の組織運営を父母,住民・教師によって自治的に行う考え方
(2) 学校経営の概念のは握
学校経営の考え方は,合理性・実証性を中心と して,国の内外における研究開発及び,一般企 業の経営・管理理論の影響を受けつつ,それ自体 が主体的に発展している現状である。当プロジェ クトはこの点に注目し,次の2つについて理論と その背景を追求し,経営評価研究の基盤作りを心が けた。
- 法規主義的立場に立った経営概念― 特別権 力関係理論に裏打ちされた管理概念として
- 経営学の理論導入によって形成された概念― 現代学校経営に適応する概念として
(3)学校経営評価に関する基礎研究
(2)に引き続いて,学校評価についての諸説,各 研究機関作成の評価基準の検討,評価の事例研究 等を通して学校経営評価の経緯をは握し,その過 程で問題となった事がらの調査によって,学校経 営評価のあり方を考えるための資料を得ようとし た。
そのために,過去において全国的な影響力をも った文部省「中学校・高等学校学校評価の基準と 手引」(試案),東京都教育委員会「学校評価基準」 (学校評価基準と手引),学校経営コンサルティン グ研究会「学校経営のチェックリスト」以上3つ の評価形態をとりあげ,評価の目的,評価の主, 評価領域,評価の実施方法等について比較検討し, 経営評価に関する一般的な問題点のは握につとめ た。
また,学校経営評価にたずさわる各学校の評価 事例を収集・考察して学校経営評価試案作成のた めの基本資料の収集にあたった。以下は,当プロ ジェクトがとらえた,現時点で実施されている学 校経営評価の3類型である。(詳細については,県 教育センター紀要36号を参照していただきたい。)
-1.学校経営評価のねらいからとらえた類型
- 教育目標の具現につながる教育活動に重点をおいた経営評価
- 教育活動を支援促進する運営面に重点をおいた経営評価