福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -025/034page
研究実践校紹介
算数科における基礎的な知識と技能を身につけさせる授業の組立て
いわき市立大野第二小学校
I はじめに
本校は,昭和53・54年度,県小学校教育研究会( 県小教研)から算数科研究推進校の指定を受け,標 記主題による研究を進めてきた。研究の成果は,昭 和54年10月3日約250人の参会者を得,授業を通し て発表したがここでは研究成果を授業過程を中心に 述べてみたい。
II 校区ならびに学校の概要
本校は,いわき市平から北方約15kmに位置する純 農村を校区とする児童数98,6学級,職員数11の小 規模校である。県標準学力診断検査による算数科学カはほぼ中位にあるが,自主性に乏しく,「日常の 事象を数理的にとらえ,筋道を立てて考え,処理す る能力や態度」も低調であった。そうした中で本校 は,下記の教育目標を設定し,その具現化をめざし てきた。
大野二小教育目標
自ら求めて (1)じょうぶな子ども
(2)よくわかる子ども
(3)がんばりぬく子ども
になろうと日々努力する児童の育成「よくわかる子ども」とは,具体的には,次のような子どもで,研究のねらいと深くかかわっている。
- 基礎的な知識・技能を身につけた子ども
- 学び方を身につけた子ども
- くふうして考え,問題点を打開できる子ども
- 美や真理の探さにふれ,感動する子ども
- 他の立場がわかり,思いやりの心をもつ子ども
- 自ら問題をもち,意欲的に解決に立ち向かう子ども
III 研究に対する基本的な立場
1 研究主題について
「日常の事象を数理的にとらえ,筋道を立てて考 え,処理する能力・態度の育成」―これが小学校 算数科の総括的な目標であり,県小教研の研究課題 である。県小教研では,「基礎的な知識と技能を身 につけさせる指導を中心に」その方途を究明しよう としてきた。本校では,そうした趣旨に沿いつつ, これを授業の組立てという視点から研究を進めた。
つまり,「日常の事象を数理的にとらえ……」と いう総括目標を達成する前提としての「基礎的な知 識と技能」を身につけさせるために,(1)授業の目標 をどう設定し,(2)目標達成に最適の教材をどう選択 開発し,(3)児童をどう学習にとり組ませたらよいか。 そしてその時,(4)教師はどうあるべきか―このよ うな視点である。
2 研究推進の方針
研究を進める上で,まず第一に考えたことは,研 究を通して本校教育目標の具現化に貢献したいとい うことである。この研究によって,前述の実態の児 童を少しでも本校教育目標に近づける。児童自ら「 よくわかろう」と努力した結果,(1)「部分的・断片 的にわかる」から「統合的・構造的にわかる」境地 へ (2)「わかる」から「できる」境地へ (3)「でき た」から「活用できる」境地へ (4)「わかった」 から「もっと深くわかろう」とする境地へ,進展し 得るようにさせたい。そうすることが,新学習指導 要領の趣旨に沿い,学校教育に対する今日的要請に 応えることであると考えた。