福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -026/034page

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 さらに,次の諸点を考慮したつもりである。

IV 研究の概要

1 目標設定のあり方

 これまで,ともすると目標設定が安易に陥り,たとえば,他校の教師が本校の児童の実態とは異なる児童を対象として設定した目標を検討・吟味することなく受け入れてしまう傾向があった。また,その表現は伝統的な形式にこだわって明確さを欠くうらみがあった。 

 そこで,本校では改善策を模索し,次のような基本的な態度をとった。

(1)でき合いの単元目標や本時の目標に拘束される ことなく,目標構造を正しくとらえ,児童の実態 や教材内容の特性に対応しつつ,授業者の創意く ふうを加えて設定する。

(2)「何をどのような状態でとらえさせるか」「どの ようにとらえさせるか」の二面からの検討を加え, 目標値を明確にするために,行動目標の考え方を 導入するとともに,その具体化(下位目標の設定)を図る。

(3)「本校における目標設定の手続きと視点」と題する目標設定の手引きを作成し,目標の設定や分析への便を図る。

2 教材の選択や開発のあり方

 教材研究の重要性を十分に認識しているつもりであっても,実際の営みは,教科書用指導書の週案への転記であったり,教科書研究の域を出なかったりということが少なくない。

 そこで,本校では,「教材」という授業構成の一要素の研究に止まらず,他の要素(目標や児童)とのかかわりから研究し,検討・吟味するように努めた。そのため,「教材選択・開発の手続きと視点」という手引きを作成し実践への便を図った。

3 児童の学習への取組み方の洗練

 児童は授業の主役であると言われる。しかし,現 実にはそうでない場合が多い。それは,主として次 の2点に起因するものと考えた。

(1)児童の資質の乏しさと教師の児童に対する実態 認識の不十分さ

(2)教師による教えこみの過剰

  そこで,本校では,次のように対処して改善を図 った。

 -1.準備テスト・事前テストの実施により,児童の実態を事前に把握し,授業の計画と評価に資する。

 -2.児童主体の基本的な授業過程を設定し,学習の進め方の大綱を,教師も児童も理解するように努める。

 -3.教師の制御の量や質を最少眼に押さえ,児童の発想や活動の時間と場を保障するよう努める。

 -4.教師と児童,児童相互のみがき合いや励まし合いによって学習意欲の増幅を図る。

 ところで,本校では,授業において児童が主体となるためには,それに値する資質が児童に身につい ていなければならないと考え,その洗練に努めた。

(○印は,身につけさせるべき基準や身につけさせる方策について本校案が作成されているもの―作成中のものも含む―)
数理追求に必要な児童の資質

 上記のうち,1と2(4)を除けば,算数科のみならず各教科に通じ,むしろ他教科との連携のもとに身につけさせる方が効果的である。

次に,主なものを示してみる。

<学習への心構え>

時・場面 1・2年 3.4年 5.6年
1.チャイムが鳴ったら・・・・ (1)すばやく着席し準備を整え静かに待つ。 (1)→

(2)ノートに月日を記入し前時の学習内容をノートから想起する。

(1)→

(2)→

(3)前時の学習内容の要点を述べられるようにする。

2.学習が始まったら・・・・ (4)よそのことは考えない。よそみをしない。

(6)すばやく行動する。作業のけじめをつける。

(4)→

(5)先生の第一声を注意を集中して待つ。

(6)→

(4)→

(5)→

(6)→

3.先生や友だちの話を (7)最後までよく聞く。わからないところは (7)→

(8)正しいかどうか考えながら

(7)

(8)→

(9)→


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