福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -027/034page
聞くとき 質問する。 聞く。自分の考えと同じ点とちがう点をはっきりさせる。 生かせる部分をさがしながら聞く。 4.問題を解く時 (10)なまけないでやる。わかなくともへこたれない。わからないときは先生に相談する。 (11)終わったら見直しもう一度やってみる。
(10)→ (11)終わったら検討し,時間をむだにしない。
(10)→ (11)→
(12)答えのあるべき範囲を考え検討する。1つの解法に満足せず必ず別解を開発する。
5.ノートする時 (13)指図をよく聞いて正しく書く。 (13)→ (14)速く書くようにつとめる。
(15)ノートの形式をそれに従う。
(13)→ (14)→
(15)→
(16)ノートしたことがあとでわかるように書く。
(17)わかったことや感想もつづる。
< 学習の進め方についてのおおよその到達目標 >
1,2――学習の進め方を意識し,時には段階の名称や段階の名称に対応することば(予想・確かめなど)を使うことができる。
3,4年――段階の名称・順序を覚え,次なる学習活動を予測することができる。
5,6年――5段階の一部または全部を主体的に進めることができ,その経過を段階名を活用して要領よくノートすることができる。
4.教師の役割
通常わたしたちが考える「教材研究」は目標設定 ならぬ目標理解に始まり教材理解で終わるようであ る。授業を組み立てる教師は,授業の要素である目 標・教材・児童・そして授業者である自分とそれら のかかわりに精通していなければならない。そうし て,相互のかかわりを勘案して,必要があればある 要素に規制を加えつつ,それらを有効に組み立てる のが教師に課せられた最大の課題であると考えた。
5.基礎的な知識と技能を身につけさせる授業過程
本校が設定した児童主体の授業過程は「つかむ―しらべる―みつける―まとめる―ひろげる」の5段 階であるが,真の児童主体の学習活動は,目標・教 材・児童・教師とそのかかわりで保障されなければ ならないと考えて,下表のような授業組立ての手引 きを作成し,その実践化を図った。
また,授業の組立ての状況を形象化するために授業案ヘフローチャートを導入した。授業において目標行動を期待するには,下位目標行動が着々と具現されなければならない。したがって,下位目標行動は授業の区切り区切りのねらいとなり,評価とフイードバックが必要となる。そうした授業の組立てを表現するのにフローチャートが適していると考えたからである。
< 授業組立ての手引き >
基本的な授業過程の各段階における,目標・教材・児童・教師のあり方とそのかかわり
段階名と段階の目標 教 材 児 童 教 師 1 つかむ
小単元または単位時間の目標に迫る課題を主体的にとらえさせる段階
課題は教師が設定して与えるものではなく,児童が新しい事象に出会ってするどく反応し,疑問や矛盾,興味や必要感を抱いて設定するようにさせたい。その
児童との出合いにおいて,児童 に疑問や矛盾,興味や解決への必要感を抱かせ,児童の達成動機を触発する適度な抵抗をもち,しか も,児童の抱く知的好奇心が,小単元や単位時間の目標またはその 周辺を対象とするものもなければ ならない。 新しい事象(教材)との出会い を楽しみに待ち,提示された教材 にするどく反応し,これまでとら えていた自分の数理の不十分さや 矛盾を感じ「へんだな」「どうす ればよいかな」といった問題意識 から「何とか解決できそうだ,よ しみんなでやってみよう」という 共通の課題に,自らねり上げてい く。
新しい事象との出合いを楽しみ に待つということは,結局算数が
左記の教材を準備し,できる だけ児童主体の課題把握がなさ れるよう努めて制御を少なくし ながら,問題意織をゆさぶり, 掘り起こし,課題に高めていく。 そのためには教材提示に工夫を こらし,特に低学年では教師の 演出を加えたりする。