福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -028/034page

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段落名と段階目標 教     材 児     童 教     師

ためには――

 

 

好きであるということで,これは過去の授業での充実感に負うところが大きい。

 

2 しらべる

 解決への予想(仮説)をもたせ,そのたしかめ(検証)の方法を模索させる段楷。

 児童ひとりひとりが,何らかの考えを確立し,そのたしかめに意欲を高めるようにさせたい。そのためには――

 予想が立たない,解決の方法が見出せない児童には見通しをもたせるための補助教材が必要となる。補助教材は児童の直面する困難の度合いに応じて多様化されなければならない。

 この段階の補助教材は,課題と同一または類似のものが望ましいが,ある場合には,相反する事象でもよい。

 

 ひとりひとりがその能力に応じて真剣に立ち向かう。そして結果を直観的に予想する。直観といってもあてずっぽうではなく,背景に既習の教理がなければならない。「たぶんこうなるのではないか」という見解を「それは〜だから」と理由づけし,さらに「こんな順序で考えていけばよいだろう」という解決の方法を開発していく。ここでは基礎学力を新しい事象(課題に向けて応用していく矛軟性)が必要である。そうして,まったく行きづまった時,教師や級友にその状態を告げ,解決への手がかりを得ようとするひたむきな姿勢がほしい。

 ひとりひとりが個別に考える段階であり,ひとりひとりがその能力に応じて活動する段階であるから,教師の指導は児童に応じてなされるものでなければならない。適切な補助教材または助言を準備するとともに,自由なのぴのぴしたふんいきを醸成しながら,児童に能力に応じた精いっぱいの活動を促すことが大切である。

 

3 みつける

  ひとりひとりの予想 やたしかめの方法を集 団の場に提示させてそ の妥当性を検討し,数理を見出させる段階。  ひとりひとりの考えがだいじに扱われ,それらが数理の発見に貢献していくようにさせい。そのためには―― 

 児童の予想やたしかめの方法が 既教材となる。また既習事項をも とにして解決に迫る場合には,そ の要約した図表などや前段階で準 備された補助教材も役立つことが 多い。

 児童の予想やそのたしかめの方 法などを教材化する場合には,目 標達成に有効な考えのみならず, 多くの児童が陥りやすい誤謬(ごびゅう)を含 むもの,目標達成には曲折があっ ても児童のくふうや創造性のみら れるものも大切にしたい。

 自分の考えが集団の中で確かめ られることへの期待をもち,さら には自分の考えの不十分さを感じ とる。そうして,「なるほどいい考 えだなあ」「そうすればよかったの か」とか「やっぱり自分の考え方 でよかったのだ」など前段階での 自分の考えを自ら吟味していく。

 そうした中で,級友とみがき合 うことの意義を感得しつつ,数理 に迫る喜びを味わう。

 ここでは,自分の考えを積極的に表現するとともに,級友の意見に傾聴して自他の思考の洗練に役立てようとする姿勢が望まれる。これは平その学級づくりに負うところが大きい。

 児童の多様な考え方を十分に生かすことのできる心の広さや柔軟な姿勢が欲しい。教師の設定した路線に沿わない思考や意見は,とかく否定されたり無視されたりすることが多い。教師は児童の発想をあたたかく受け止めて理解に努め,教材化したり,賞揚したりするようにしたい。

 また,この段階は集団思考の場となることが多いから,児童の発想をどんどん提起させ,論をたたかわせる。そのため,前段階と同様,教師の制御を少なくしたい。互いの考えが互いを高める貴重な存在となることを実感させ人間尊重の精神を育てる。

 

4 まとめる

 見出した数理を一般化してとらえるとともに既習の数理体系の中に位置づけさせる段階。

 見出した数理が一般に通ずるものかどうか自分達で検討し,より簡潔でより広く使えるよう表現をくふうさせたい。

 一方,既習の教理の

 見出した教理が一般化に耐え得るかどうかの検討は,児童から出される事象(教材)でなされることが望ましい。「こんな場合ではどうか」と,類似や相反の事象を提示し合って必要十分な検討を進める。

 一般化に耐え得た数理をよりよく表現しようとするときには,未熟な表現からよく練られた表現(たとえば教科書の表現)へと段階をふむ提示・検討が望ましい。

 前段階でとらえた数理を,「こ んな場合でも通用するかな」「あ っ,これも使える」と自ら適用の 範囲を広げよろこぴを感じる。

 さらに「きょうわかったことをまとめてみよう」と自分なりに表現し,それをより簡潔で普遍的な表現に練り上げていく。そうして「きょうの学習で,これまで気づかなかったこの部分がわかったのだ」という充実感を感得し,「これを利用して問題を解いてみたい」

 この段階は,これまでともすれば教師の一方的な働きかけに終始しがちであった。たとえば「きょうの学習をまとめます」と切り出し,とらえた数理を児童の表現を経ずして教科書の記述通りにまとめてしまいがちであるが「まとめる」のは児童である。児童に一般化させ,数理を適切に表現させ,既習事項を想起させ体系化させたい。

 そのためには,この段階で時


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