福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -029/034page

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段階名と段階の目標 教     材 児     童 教     師

 何とどのようにかかわるのか整理させ,より  体系的構造的にとらえさせる。そのため  には――

 

 さらに体系化・構造化は同領域 同内容の既習事項を要約したもの などがあると新しい数理の位置づ けに便利である。

とさらに積極的な学習意欲を示す。

 

間にゆとりをもたせるとともに児童の稚拙な表現を容認しつつそれを洗練の手がかりとすることが必要である。

 

5 ひろげる

 獲得した数理を定着させ,適用の場を広げ習熟させる階。

 前段階で一般化され簡潔に表現された数理のよさに気づいて定着,活用への意欲をもたせたい。そうして適用したり,練習したりすることに喜びを感じ,自ら進んで学習を続けさせる。そのためには―

 わかったことを確かめたり活用してみたいと思っている児童に適度の抵抗をもつ適量の教材が必要となる。単純な構造から複雑な構造へ,類似の構造から異った構造へというように教材配列にくふうをこらしたりして,児童が次から次へと問題を処理していくことに快感を感じられるようにする。しかし,戸惑いを与えて,新しい解決のしかたを開発する必要を感じさせ,新しい課題に導入する教材も必要である。

 「わかったことを使ってみたい」「なるほどこれは便利だ」「これは覚えておこう」といった意欲あふれる児童の姿が望まれる。そうして「学んでよかった」と学習への充実感を得,「よし今度もがんばろう」と次単元・次時への意欲に回帰させる。

 

 児童にやってみたいという欲求をふるい立たせ,自分から練習する姿勢を育てることが大切である。

 チェックを十分にして,なる ペく早期に診断・治療をすると ともに,K・R情報を密にして 児童に惨敗感・挫折感を与えな いようにする。進んで練習する ことによろこぴを感じることが できるよう進度表などを使うこ とも有効である。

V 研究の成果と残された問題点

 以上述べたことを基調とする実践の結果,次のような成果がみられたと考えている。

(児童の側面から)

  1. 県標準学力診断検査によれば全学年全領域にわたって学力の伸長が認められたが,実践研究の主対象とした「数と計算」において著しい。 
  2. いわゆる算数ぎらいが減少した。
  3. 学年相応に学習の進め方の手順がわかり,教師の指示・助言を必要とする場面が減少し,学習が効率的に進展するようになった。 
  4. 問題解決にあたって,思考の矛軟さと追究への 執拗(しつよう)さがみられるようになった。

(教師の側面から)

  1. これまで以上に授業の目標を意識するようになった。目標行動と下位目標行動を意識する習慣がついた。また授業の成果が気になり評価を密に行うようになった。
  2. これまでは,教材研究=教科書研究という考えが支配的であったが,教材研究を多角的・焦点的に進めようとすることが多くなった。すなわち,最終行動目標に到達させる過程を縦糸に,目標・ 教材・児童・教師の観点を横糸とする組立てを すばやく構想し,そのうえでたとえば中心教材の開発に力点を置いて研究するというようなことである。

 本校の場合,実践的研究というよりも研究的実践 というべきであると思われる。本校では,まず,めざす授業の姿を明らかにし,それに対する現状との 落差を少しでも縮めることを念頭に置いた。そうし て,研究校の成果や教育学的見地や本校のなまの実 践等により,作成したのが前述の表である。しかし これは仮説の域を出ない。

 また,「児童の学習への取組み方の洗練」については吟味と実践を積極的に進める余地が大きい。

 同時に,前述の研究成果の検証を念入りにしつつ研究成果がどのような実践と因果関係をもつかの吟味も必要と考えている。

VI おわりに

 以上が,本校研究の概略であるが,基本的な考え方を述べたに止まり,実践事例やデータを提示するには至らなかった。本校研究妃要「算数科における基礎的な知識と技能を身につけさせる授業の組立て」をご参照いただき,種々ご教示いただければさいわいである。

 本校では,昭和55年度から「自ら学ぶ児童を育て る授業はどうあるべきか」という研究主題を設定し 対象教科に国語科を加えて研究をさらに進めようと している。


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