福島県教育センター所報ふくしま No.48(S55/1980.10) -030/034page
<アイディア紹介>
小型風車による風力発電
福島県立福島農蚕高等学校 白 石 章
最近,省エネルギー時代に入り,何とか石油の代わりになるものはないかといろいろ研究されているようです。例えば太陽熱利用の温水器,又太陽電池を利用した自動車等は最もよく知られているものでしょう。その他,日本ではあまり研究されていないものですが風力の利用が考えられる。この風力利用は,エネルギー変換に伴う汚染物質を放出しない点で魅力的といえるでしょう。
オランダ風車に代表されるように,中世から近世にかけてヨーロッパ諸国では,風力が最大の動力源であり,又アメリカにおいても開拓時代以来,風車が揚水や発電に用いられてきたようだ。
高校の物理学において,エネルギー保存の法則が教材にある。今までの教科書では,位置エネルギーから電気エネルギーヘの変換すなわち水力発電が主に取り上げられており,発電といえば,水力発電,火力発電等がすぐ頭にうかぶ程で,風力発電は日本ではあまり研究されてきていないようだ。
新しい時代を背負って生きる生徒に対し,省エネルギーとして運動エネルギーから電気エネルギーヘの変換である風力発電について目を聞かせ,今後の新しいエネルギー利用のきっかけにしてもらいたいと考え,小型風車による発電をこころみた。
風車には,水平軸風車としては,プロペラ形風車オランダ風車,又翼形風車,セイルウイング形風車等があり,又垂直軸風車としては,パドル形風車.サボニウス形風車,ダリウス形風車等いろいろあるが,学校の教材用としては,水平軸風車のプロペラ形風車が簡単でよいと思う。又発電機は手近にある模型用の小型発電機や自転車用の発電機を使用した。
次に木製プロペラの製作方法についてのべてみる。材料はバルサ材を使用した。
- (1)板に必要なラインを書き込む。
- (2)センタにセンタ穴をあける。この作業前にボ ルト穴の位置にきちんと印を付けておく。
- (3)のみか彫刻刀を使って翼根部から先に引いたラインまで削り落とす。
- (4)翼形定規(後述する)を用いて揚力側を削る。
- (5)ボス(中央部分)の角を丸くなめらかにする。
- (6)翼端を丸くする。
- (7)プロペラが静止するように静バランスをとりやすりで仕上げる。
- (8)プロペラのキャンパを削り出す。
- (9)表面をFRP液のコーティングを行う。
- (10)再びバランスをとり重い側を水ペーパーで修正する。
次にプロペラ(クラークY翼形)の削り方を下図 に示す。
プロペラの基本寸法は,低速用(起動風速4.0〜5.0m/s)の場合幅係数W=0.10D,中速用(4.5〜6.0m/s)W=0.09D,高速用ト6.0m/s以上)W=0.08Dとなっている。