福島県教育センター所報ふくしま No.49(S55/1980.12) -003/034page

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動」と「ゲーム」は,学年の目標を達成するために,内容として示されたものである。

これまでは,「技能が向上することにより,体育学習が楽しいものになり,興味や関心も高まる。」という考え方であったが,新学習指導要領では,「教科目標」を達成するために「学習者の立場から運動をとらえ,運動の特性に応じた学習指導を行うことが必要である。」との考えから内容が示されている。この考え方は,小学校,低,中学年の体育学習が「生涯を通じて継続的に運動を実践できる」ための身体的,精神的な基礎づくりとして重要であるとの立場にたっている。身体的には,「動き(身体操作)づくりの課題」追求の中から「運動技能の向上」や「体力の向上」を図ることが強調されている。また,精神的には,「楽しさ」を味わうことにより,運動に対する「親しみ」や「意欲」を増し,より積極的に運動に取り組ませることを強調している。

「基本の運動」と「ゲーム」の論議の中には「不満」や「不安」の声も少なくなかったが,実施の結果は,「不満」「不安」も解消され,むしろ,歓迎の声が高まってきている。

中学校,高等学校においては,順次,新学習指導要領の完全実施に入ることになる。教師は,それぞれの学校に限ることなく,小・中・高校一貫性のうえにたって目標をとらえておくことが必要である。また,これらの目標は,学校教育における,体育独自の役割を果たすために,学校教育法,学校教育法施規則等との関連において理解することも必要である。

3. 授業研究の実際

当教育センターが「2−1−2方式の授業研究」を公にして以来、多くの関心を寄せていただいているが,研究にたずさわったものの一人として,さらに,講座の運営に供したり,講座に参加される先生方に研究を依頼して,授業の工夫や,改善のためより多くの方々に活用していただきたいと考えている。

「2−1−2方式」の良さは,一連の方法をもとに,フィードバックの観点をとらえるために評価(事後研究)をしやすくしているところにある。ここでは,実践例をもとに,体育における授業研究の一方法とし述べてみる。

実践例
 体育科学習指導案
昭和55年10月2日(木) 4校時
福島市立瀬上小学校 体育館
第4学年2組 授業者  森 芳久

研究主題

「課題をもって意欲的に授業に取り組ませるための授業展開の工夫」

研究のねらい

学習指導要領では,体育科の目標の中で,「運動に親しませる」こと,「楽しく明るい生活を営む態度を育てる」ことを強調している。これは,保健内容とともに,児童の現在および将来の生活を楽しく明るいものにすることを目指している。

従来の学習指導要領では,学習指導をとおして体力の向上と運動技能の獲得を第一と考えていた。しかし,現行の学習指導要領は,「生涯にわたってスポーツを楽しむ」を強調した点は,現場の私たちに歓迎され軌道にのりつつある。

本校では,運動を好み自ら進んで運動に参加する態度を養うために,「やらせられる体育」,受身の授業から,児童自ら意欲が持続するように努力させている。さらに,児童の運動欲求の充足,運動の楽しさと喜びを毎時それぞれの場面で味わわせるようにしている。
常に,児童は学習に取り組む課題をもち,その課題を解決することにより,さらに高次のねらいを設定し,その達成のために全力を尽くして授業に取り組めるように授業展開の工夫をすればよいと考え研究主題を設定した。


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