福島県教育センター所報ふくしま No.49(S55/1980.12) -006/034page

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高等学校教材

情報処理教育とマイクロ・コンピュータの利用

科学技術教育部  永山 三郎

1.はじめに

マイクロコンピュータの1977年以後の発展は1970年初頭から情報化社会と喧伝された段階を,その技術革新により情報革命といわれるまでに発展させ産業全体の構造をも変革した。この革命的発展を反映して情報教育の目標と必然性が確立しつつある。

1980年代はコンピュータアプリケーションの時代であるといわれることから情報教育もToolとしてのコンピュータアプリケーションを各分野で研究する必要がある。ここでは今後専門分野以外で最も情報処理・教育に利用されると予想できるマイクロコンピュータを具体的に教育情報処理・統計及びOR技法の実験・実習に利用した例を提示した。

2.マイクロコンビュータによるデータ処理とOR

使用マイクロ・コンピュータ
・マイコン   シャープMZ−80C
・プリンター  シャープMZ−80P3
・プログラム言語  BASIC


BASIC言語の特色

(ア) 初心者に理解し易く,初心者教育用に景適
(イ) 会話型であるので直接にデバック・実行が可能
Turn around timeが早い。
(ウ) 数式処理が簡単,統計,行列,科学技術演算等に適している。
(エ) 入出力・プリントが特に簡単である。

(1)実験・実習の内容

[1]成績処理プログラムの作成
[2]プログラム能率(Core sort algorithm)の実験
[3]OR技法による実験結果の整理と推定

成績処理プログラムを作成し,データ処理時のアルゴリズムとマイクロ・コンピュータの能率を実験,あわせて実験結果をOR技法により実験式(回帰式)と予測値を求め,回帰曲線をかくプログラムを作成した。

(2)成績処理プログラムの作成とデータ処理

◆学期末・模擬試験等の処理用◆
○ 得点(評価)一覧表(学籍順及び成績順)
○ 評定一覧表(   〃   )
○ 通知表

資料2 成績処理のゼネラルフローチャート
成績処理のゼネラルフローチャート

資料3 成績一覧表(成績順の例)
成績一覧表(成績順の例)

資料4 通知表
通知表

(3)実験コア・ソート(Core Sort)技法の能率

成績処理プログラム実行の結果,処理時間が予想以上であった。この原因が成績順への並べかえ処理にあることから,マイクロコンピュータの性能と同時にアルゴリズムの優劣が能率にどう影響をあたえるかを,ソート技法を題材として実験を試みた。

[1]コア・ソートの技法

不規則な数列
2 5 1 4 3
(ソート)
――→
規則的な数列
1 2 3 4 5

主記憶上のランダムなデータを規則的な数列に,並べかえる技法である。
(代表的ソート法)
(A)逐次決定コア・ソート
(B)隣接交換コア・ソート
(C)2分コア・ソート
(D)そう入コア・ソート
(E)Shellコア・ソート
(F)Quickコア・ソート
(G)Heapコア・ソート
(H)Addressコア・ソート

実験には,一般的な(A)逐次決定法と(B)隣接交換法とアルゴリズムは難解でも早い(C)2分法の3技法について,そのソートデータとソートタイムの相関を求めた。


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