福島県教育センター所報ふくしま No.49(S55/1980.12) -022/034page
※ アとイに○をつけた方は,参考になったことを書いて下さい。(自由記述)
○ 授業テーマ,授業仮説 ○ 指導法
・ テーマを限定したことは,焦点化され事後研究会の協議で効果をあげた。 ・ テーマをしぼることは,授業研究のだいじな要素であることがわかった。
・ 指導過程の組みかたが生徒の実態ときわめて関連の深いこと。 ・ 小集団での話し合いのさせかた。 ・ 道徳授業のすすめかた,資料の使いかた。 ・ OHPの多様な使いかた。 ・ TPを使っての授業のすすめかた。 考察
○ 3回の授業研究を通して,フィルター方式が定着した感じである。小規模校で人数が少ないため 簡略化した形ですすめているが,さらに充実していくよう心がけていきたい。
○ 授業研究に対して,全員が参考になったと答え,それぞれ参考となった事項を記述してくれたこと は,係として苦労したかいがあったように思う。また,11月に赴任した若い教師は「授業研究の方 法として,はじめて経験しました。ただ授業を参観するのではなく,1人1人の係を明確にして授 業記録をとり,それを総合フィルターにまとめる。観点が焦点化されたすばらしい授業研究です。」 という意見を述べてくれた。 5.今後の問題
(1) 研究主題と授業研究との結びつきを強める。
3回の授業研究を通して,研究主題に対する理解が得られたものの,研究の深まりという面で問題を残している。研究主題をじっさいの授業へ,具体的にどのようにおろしていくかが問題なのである。これについては,事前研究に共同研究計画を活用すること,授業仮説を研究主題から十分検討することによって,解決できるものと思う。
(2) 授業分析研究の充実をはかる。
本校の研究主題は「学習意欲を高める授業の展開」である。私たちは,授業分析を通して学習意欲を高める教師の手だてを追求してきた。学習意欲をおこし,それを高めようとして試みた手だては,授業場面で著しい効果をあげている。総合フィルターは,これをはっきりと証明している。
事後研究で教師の発問と生徒の参加傾向が,問題になった。協議の結果,学習意欲をおこす内的動機づけとなる発問のしかたを,今後工夫していくこととなった。より緻(ち)密な,より客観的なデータをもとに,充実した授業研究を心がけていきたい。
(3) 少人数学級の特質を生かす。
本校は,全生徒数47名1学年1学級で編成されている。1学級の生徒は15名前後である。共同研究の内容として,個人カルテの工夫があげられている。本年度は,授業分析研究に重点をおいてすすめたので,個人カルテの作成は,次年度へ繰越すことになったが,授業研究に個人カルテを活用することも考えられる。1学級あたり15名程度の少人数である。この特質を生かし,創意工夫していけば,より深まりのある研修が得られるものと思うのである。
(4) 小学校との運携を深める。
本校と小学校とは,棟続きになっている。運動会やスキー大会の行事は,小中合同で実施している。この小中相互の結びつきを,学校行事から授業研究や児童生徒の学習へと発展させることができれば,相互に充実した共同研究となり,従来にない教育的効果が期待できるものと確信する。
6.参考文献
(1) 研修のすすめかた
福島県教育庁義務教育課編
(2) 授業研究を進めるにあたって
―実践を通しての一考察―
喜多方市学校教育指導委員会編
(3) S53学校経営に関する研究
福島県教育センター編