福島県教育センター所報ふくしま No.49(S55/1980.12) -023/034page

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研究プロジェクト状況報告

福島県標準学力診断検査問題の研究

文責  半沢 正一

1.研究の趣旨

本研究の趣旨は,県内各小学校が,全県的立場から、自校の児童の学力の実態を把握・診断し、教育計画や学習指導の改善に役立つ検査問題となるよう研究をすすめ,検査問題を作成することである。

2.研究の経過

福島県教育センターでは、以前から「標準学力診断検査問題」を作成してきたが,昭和50年度に,教育課程審議会から「教育課程の基準の改善に関する基本方向について(中間まとめ)」が発表されたのを機会に,従来の検査問題の改善の必要を認め,昭和51年度から新教育課程に沿った検査問題の作成の研究を開始した。 昭和51年度から4〜6学年の国語と算数,昭和52度から4〜6学年の社会と理科の検査問題の作成に,それぞれ着手した。そして,問題の作成・標準化のためのテスト・結果の分析に基づく問題の修正といった手続きを繰り返して,昭和53年度9月には,4〜6学年の国語・算数の問題が,昭和54年度9月には,4〜6学年の社会・理科の問題が完成をみた。 なお,この研究の過程で,県内小学校のうちから,学校規模・地域区分を勘案し,統計学的手法で抽出された学校の協力を得,標準化のためのテストを兼ねて,4〜6学年の児童の学力実態を調査したが,その分析結果を「『福島県標準学力診断検査問題』による学力分析報告書」としてまとめた。

教科
年度
国語・算数 社会・理科
昭50 ○4,5,6年の検査問題1ついて,従来の検査実施時間を短縮した問題を作成○検査問題吟味のための標本検査実施
昭51 ○4,5,6年の検査問題の再編成と予備テスト実施
○学習指導要領の改訂に対応する問題作成の検討
昭52 ○4,5,6年の検査問題の修正と予備テスト実施 ○4,5,6年の検査問題の作成と予備テスト実施
昭53 ○4,5,6年の学力検査予備テストの集計処理
○4,5,6年の検査問題の完成と本テスト実施
○4,5,6年の学力検査予備テストの集計処理と予備テストの実施
昭54 ○4,5,6年の学力検査,本テスト集計処理 ○4,5,6年の学力検査予備テストの集計処理
○4,5,6年の検査問題完成と本テスト実施
○学力分析報告書作成(所内印刷)
昭55 ○l,2,3年の検査問題の作成と予備テスト実施 ○4,5,6年の学力検査本テスト集計処理
○4.5,6年の学力分析報告書完成

3.今後の研究計画

昭和56年度以降の研究計画は,次のとおりである。
教科
年度
国語・算数 社会・理科
昭56 ○l,2,3年の学力検査予備テストの集計処理
○l,2,3年の検査問題の完成と本テスト実施
○l,2,3年の検査問題作成と予備テスト実施
昭57 ○l,2,3年の学力検査,本テスト集計処理
○l,2,3年の学力分析報告書作成
○l,2,3年の学力検査予備テストの集計処理
○l,2,3年の検査問題の完成と本テスト実施
昭58 ○4年の学力実態把握のためのテスト実施
○l,2,3年の学力分析報告書作成
○l,2,3年の学力検査本テスト集計処理

4.研究の特色

「標準学力検査」とは,[1]検査の対象が明確であり、問題の内容・程度が学習指導要領に準拠し,領域に偏りがないこと。[2]受験者個人の得点は,対象集団内の相対的な位置を示す得点(標準得点)に,変換されて表されていること。の二つの条件をみたさなければならない。

そこで,本検査問題を作成するに当たっては,学習指導要領の内容を十分把握し,対象集団の正しい縮図ともいうべき標本を抽出して標準化のためのテストを繰り返して,修正を重ねてきた。したがって,県内の各小学校では,この学力検査を実施することによって,国語・社会・算数・理科について、県全体の学力の水準と,自校の児童各個人,学級,学年の学力とを比較することが容易であり,指導上の問題点・留意点なども客観的に知ることができる。

(1) 本検査の問題について

本検査の問題は,多数の経験豊富な教師の協力のもとに、新学習指導要領に基づき,当該学年,当該教科の到達度を十分検討し,領域ごとの偏りがないように配慮して,本質的,基準的なものを選んで作成した。また,問題の難易については,予備テストの結果から正答率の極端に高いものや低いものは除いた。そして,各問題については,ねらい,学習指導要領との関連,正答率および正答率の信頼区間などを明記し、児童のつまずき点,指導の不徹底な点などが診断できるように配慮し,実際の指導に活用できるようにした。

(2) 本検査の標準化のための標本について

本検査の標準化のための予備テストの標本数は,1学年1教科当たり延べ1000を越す。これらの標本は層化無作為2段摘出法によった。すなわち,学


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