福島県教育センター所報ふくしま No.49(S55/1980.12) -025/034page

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研究実践校紹介

基礎的・基本的事項をおさえた教科の指導

郡山市立郡山第一中学校

基礎的・基本的事項をおさえた教科の指導 郡山市立郡山第一中学校

1.研究主題設定の趣旨

情報過多といわれる今日,ものを覚えさせればそれですむという単なる知識や技能の伝達ではものごとの解決はできなくなってきている。当然,ここに教育内容の質的変化が求められるようになり,教育内容の精選の方向にそって「教材の精選,指導の重点化」などのような解決法が叫ばれだしてきたのである。このたび告示された小・中学校の学習指導要領の骨子となった
・ゆとりある教育
・基礎的・基本的事項の精選
・教える教育から自ら学ぶ教育へ
・考える力を育てる教育

これらの趣旨は「豊かな人間性の育成」をめざす今後の学校教育の中心的な課題である。

本校では,「健康・勉強・奉仕」の3つの教育目標をかかげ,「豊かな人間性をもつ生徒の育成」をめざして教育実践を推進しているのであるが,なかでも「真理を求め,主体的に学習する生徒」の育成をめざし,過去10年間「主体的学習」をテーマに研究実践に取り組んできた。その結果,予習的課題や基本的な学習訓練などの定着がはかられたばかりでなく,教育機器の活用も盛んになり一応の成果がみられた。しかし,指導内容の過多による教材量の増加等に伴って,教材の精選,指導の重点化,能力差に対する配慮,ドリル時間の不足など種々の問題が未解決のまま残された。

我々は今こそ,教材の精選や重点化を強化し,生涯生きて働く力となるような基礎的・基本的な事項の重要性を十分認識し,その研究に全力をあげるべきである。

以上のような趣旨から本校のテーマは設定されたのである。

2.研究主題のとらえ方

(1) 近年の知育偏重の傾向を改め,知・徳・体の調和のとれた総体的な人間育成をめざし,生涯教育の立場から学校教育の役割を認識し,
 ・基礎的知識,技能の習得
 ・考える能力,創造的な思考力の伸長
 ・社会の一員としての自覚を育てる
ことに力点を置き,基礎的・基本的事項を重視していきたい。

(2) 基礎と基本を明確に区別し,概念規定することは困難だが,本校ではこれを狭義に解釈し,一応の研究のめやすとして次のようにとらえた。

○基礎的事項とは…
ある学習単位において,その学習が成立するためにすでに身につけておかなければならない論理的に必要な知識や技能として選択された事項
○基本的事項とは…
ある学習単位において,その学習の目標達成のために基礎の上に積みあげられていく論理的な系列のなかで必要不可欠なものとして選択された事項
○学習単位とは…
具体的な単元や題材またはその一部で,内容的にまとまりのある数時間または,単位時間を単位としていう。

(3) 教材を選択する面から見ると,基礎的・基本的事項をおさえる段階として次の四層が考えられる。

 [1] 学習指導要領の分析検討
 [2] 指導計画の作成
 [3] 教科書教材の分析検討
 [4] 授業計画


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