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書記係のようなのをやりたいのだが,どうかなあ。 |
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みんなのいいようでよい。 |
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彼はいつものように,はっきりしゃべらないでいる。これでは,グループの意 見など時間内にまとまりっこない。 |
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彼のぐずぐずした態度に時間をかけたくない。 |
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君の先ほどの話しでは,はっきりしなかったのだが,どの係でもいいのだね。 |
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それでは,あとまわしにして話し合いを進めよう。 |
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やはり,思った通り,自分は能力のない人間で,このグループの中では,自分の発言など真剣に聞いてくれたり,理解しようとしてくれる人はいないようだ。 |
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これからは,無視されて恥をかかないように気をつけよう。 |
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勇気を出して言ったのに,誰もうけとめてくれていないようだ。 |
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このように,引込み思案の人は,ますます引込み思案となり,自信のある人は,ますます自信を持つようになる。しかし,このどちらの場合にも問題はあるのではあるまいか。というのは,このような傾向によって,グループにかかわるメンバーの姿勢が固定化してしまい,話し合いが少しも進展しなかったり,表面的には話し合いはあるが,真の話し合いにはならず,その結果,グループ内の機能分担もできなくなり,実践に結びつかなくなってしまう。
また,特定のグループ編成によっては,適当な能力がない場合でも,リーダーシップを取らざるをえないことも生じてくる。
班長だから,学級委員だからと,教師は,その役割に期待をかけることが多いが,これに対し生徒は,学級委員はいやだ,もう班長にはなりたくない,という声が返ってくることがあるが,この場合,メンバーが持っている能力を発揮できなくなる。したがって,こういう場合には,この循環過程から生徒が脱け出せるような援助指導が必要となる。その援助指導の留意点をあげれば,
(1) 循環過程の理論を理解すること自体が,解決の助けになる。この過程を理解することによって,より客観的にその状態をながめるゆとりがでてくるからである。但し,個人およびグループの両者に,その意志がなければ変容することは,むずかしいものと考えられる。
(2) 支持的,受容的なふん囲気をつくることである。このようなふん囲気の中では,自分はこういう人間だ,だからグループの中ではたいていこういう社会的位置づけにおかれるのだ,というような自己に関する先入観をもたず,新たなあり方を試みようと心を開いてくるからである。
以上,要するに,ここでとりあげてきたのは,一見,生徒の話し合い活動が自発的,自律的,自主的にみえても,それが真に内発的動機づけにうらづけされたものであるのかどうかを教師が判断することが重要であろう。さらに指導においては,その動機づけが集団活動の中で,どのような発達過程をたどり,社会化されていくのかという考察がなければ,真の自主性を育てることができないのではないだろうか。