福島県教育センター所報ふくしま No.50(S56/1981.2) -025/042page
授業研究会終了後,職員から次のような反省が出された。
等があげられた。
(ア) 事前研究会にじゅうぶん時間をかけたので,他教科の授業でもよく理解ができた。 (イ) 観察視点と仕事の分担がはっきりしているので焦点化ができるし責任がもてる。 (ウ) 個々の生徒(特に下位生徒)の観察ができて指導に役に立つ。 (エ) 観察記録と録音テープより授業の要因,要素の関連分析が事後においても可能になった。 (オ) 事後研究会が活気あるものになった。 [2] 試案[5]について
それぞれの担当領域分野における指導上の悩み,問題点について発表してもらい,改善解決策について協議をしたが,特に各教科指導上共通している問題点として次のことがだされた。
ア.基礎学習訓練の積み重ねが必要である。
(ア) 課題,学習用具,提出物等の忘れものが多く,始業時の学習準備が整っていない。 (イ) 特別教室への移動が緩慢である。 (ウ) 姿勢が悪く私語が多い。 (エ) 指名されても返事がない生徒がおり,発言発表の声が全般に低い。
イ. 「読むこと」「書くこと」が苦手で速度が遅く,誤記,誤字,脱字,誤読がめだつ。
ウ. アンダーアチーバーの生徒が多い。
エ. 主体的学習態度に欠けている。これらのことを教師側の悩みとして直接生徒に与え,白覚をうながすことが先決とされ,特に基礎学習訓練について,学級委員と生徒会役員の合同会にて「生徒心得」との関連で
(ア)忘れものをしないようにするにはどうしたらよいか。
(イ)朝白習をどうしたらよいか。
(ウ)準備時間(休み時間)をどうすごせばよいか。
(エ)授業中の態度はどうあるべきか。
(オ)帰宅後の学習についてはどうすればよいか。
の5点について話し合いをさせ,決定事項を職員協議会にて確認をし,共通の立場で指導し,訓練の強化をはかっていくことになった。6.今後の課題
(1) 試案[2]について
ア. 授業研究記録を事後に効果的に活用していくにはどうしたらよいか。 イ. この方式をさらに発展的にとらえ,実践して定着化していくための工夫はどうするか。 ウ. 授業者にも参観者にも役に立つ,ためになる授業研究であるとすれば,今後率先して, 授業研究を名乗りでる教師がいるかどうか。 (2) 試案[5]について
ア. 生徒が話し合い決定した基礎基本となる学習態度の形成を教師側が具体的に(いつ,ど こで,どのように)どう指導を推進するか。 イ. 基礎学習訓練から,さらに各教科の本質をみきわめた学習方法訓練にどのように対処し ていくか。 ウ. 主体的でないとする学習態度を変容させていくためには,学習指導法の反省改善も当然 要求される。それをどうしていくか。
等,今後の課題としてのこされている。生徒との話し合いを進めながら「学習の手引」を作成活用にふみきろうとか,「予習的課題」の与え方(生徒がほんとうに興味や必要感をいだいてとりくむ課題の与えかた)を各教科くふうし,内容をもちよろう,さらに「基礎学力テスト」を実施しよう等,前むきの姿勢が現場にうかがえるようになったことは喜ばしいことである。いずれにせよ教師は教育の原点に立ちかえって,その本来の使命感を自覚し,生徒にいかにはたらきかけていくかの情熱が研修推進の根幹となるのだということをお互いに認識しあいながら,研修の態勢づくりにまい進していきたい。7.参考文献
○教師の手による教育づくり
〈新谷敏夫〉 千葉県教育センター所長
○“教師はこれから何をすべきか”
“どうしたら教師たちの教育力が向上するか”
「教職研修」〈教育開発研究所〉
○校内研修のありかた 〈教育開発研究所〉
○学校運営研究 〈明治図書〉
○教頭の職務,教頭の研究 〈全国教頭会〉