福島県教育センター所報ふくしま No.50(S56/1981.2) -027/042page

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[2] 職場のふんい気についての要因

また職場において“楽しいと思うこと”“嫌だなあと思うこと”を具体的に求めたものをみると,

職場において“楽しいと思うこと”“嫌だなあと思うこと”

この結果から,職場で楽しいと思うことは“仕事での成功感”であり,いやだと思うことは“人間関係”に関することである。特に女性の場合共に後者に頻度が集中していることに注目したい。

[3] 経営過程における満足・不満足

経営過程における仕事上の意志決定がどうなされるかは教職員の順応度にかなりの影響がある。
そこでア.意志決定過程の満足・不満足
    イ.決定過程への参加状況
について調査した結果は,

〈アの結果〉

○ 現在の過程に満足している  79%
○ 不満がある  21%

不満足の理由として
「成員の理解が充分でないまま決定されることがある。」
「下からの意見吸い上げが不充分。」
「一方的だと思われることがある。」
などが上げられている。

〈イの結果〉

ここでは主として“会議のふんい気”について調査したが,職員が会議等で発言をひかえた場合の理由をあげると,
○ 自分の考えに自信がない  (頻度)9
○ 何でも話せる自由なムードが欲しい 〃3
○ 提案者への気兼ね 〃2
などである。

以上いくつかの視点から教職員の不満要因をさぐってきたが,それをできる限り除去し,全体としてのモラールを高める方向にもっていくには,次のような改善・努力が必要と思われる。

1つは,それは運営における意志決定過程にある。その意志決定に自分がどれだけ参加しているかといういわゆる自己関与度のあり方といえる。一方組織がどのように意志決定をし,その過程において教職員の一人一人がどれだけ関与するかは,組織そのもののあり方である。したがって焦点の1つは,
「運営において職員ひとりひとりの自己関与度を高めるような組織への改善」
にあると考えることができる。

2つには,職場内の人間関係にある。なかんずく非公式組織における人間関係にモラールを阻害している要因が大きいことである。この問題は要因が非公式のそれであるだけにやっかいな問題を内包しているということができる。

(2) 教職員の自已関与度を高めるための組響の改善

[1] 従来の機能別組織の問題点

従来の機能別組織(校務分掌組織)は,上記の視点からは勿論のこと,教育内容・活動等の現代化に伴い,それらに対応しきれなくなってきている点がいくつかあげることができる。例えば,


教育活動の多様化は単一の係・部だけでは処理しきれなくなってきている。
特に教育目標設定や教育課程など係部のみでは充分に目的達成をはたすことができ ない。
組織の硬直化・マンネリ化をきたし,協働の体系に歪(ひず)みが生ずることがある。
したがって守備範囲に埋没し,ひとりひとりの個性の発揮がおろそかになる。

などをあげることができるが,このような組織上の問題点を改善するためには,


複数の専門分野に依存した編成
問題が全校的活動,あるいは特定の複合的目的活動に耐える組織
より柔軟な協働的体系としての組織
成員の個性が充分に発揮され,創造性の相乗作用の働く組織

でなければならないということができる。

これらの問題点を改善する1つの試みとして本研究では,教職員の個々の専門的能力(得意とする業務)を最適に発揮し,自己関与度を高める組


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