福島県教育センター所報ふくしま No.50(S56/1981.2) -029/042page

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組織における人間関係をリーダーとメンバーとの相互作用という側面からみたとき,リーダーが自己の個性としての指導のタイプ(前記)を知りながら,メンバーの個性の現れとしての仕事上の役割に対しての意識に対応していくことは,人間関係改善のための1つのカギであると考える。そこで本校教職員の役割意識を前記斎藤氏の方法によって調査してみると,


男子は“地位に基づく関係”
女子は“自分の個性に応じて配置されている関係”

と受けとめている傾向がみられる。したがって,これらに対応したリーダーとしてのあり方が考えられるが,対応のあり方は個別的かつ具体的な状況のなかで行われるものであるから一義的公式的な一般化は無理なようである。

ここでは,これら2つの調査結果と前述のモラールを阻害していると思われる状況とをどう解釈し,リーダーとしてどう対応していくかであるが,


自分の個性としての指導の型と,状況に応じた指導のあり方に留意すること。
自分の欲求に敏感であるように,メンバーのモラールを高める手がかりについても 敏感であること。

などの対応が大切であろう。

(4) 教職員のモラールの変容

以上,学校経営にわける組織の改善と人間関係への若干の対応の試みからそれがモラールをどう変容させたかを次の方法によりとらえてみた。


I) 評定尺度法
=国立研究所報No.53の集団及び個人のモラール因子を基にしてアレンジした10項により,個人ごとに「肯定 的」「中間的」「否定的」の三極分法をとり,それぞれ2,1,0を配点し集約した。

II) 行動観察法
=モラールに関係すると思われる目立った事実を観察して変容をみようとした。

[1] 評定尺度法にあらわれた変容

 ア.調査対象 校長と観察者をのぞく全員
 イ.調査期間 10月当初より3回,11月末まで。

集計は上記の配点により合計し,平均値を算出して全体の傾向としてみていった。

モラールの変容
調査段階 モラール平均値
(最高=20点)
第1回目
第2回目
第3回目
8.8
9.3
10.7

このモラール平均値の変化は評定尺度法とはいえ評定者の主観を無視することができないが行動観察法と合わせて検討してみたとき,ほぼ妥当な値ではないかと考えられる。

したがって,"モラールは全体としてはプラスの変容傾向を示している"ということができるが,この変容を個別に比較してみたとき,第1回と第3回との差が
 0の者…………2名
 マイナスの者…1名
出てきていることは,そこに新たな問題があるように思う。

[2] 行動観察法にあらわれた変容

(この方法からは,さらに多くのデータを集積していかないと確かな変容としてとらえにくいので,ここでは省略する。)

(5) 研究の反省とまとめ

この研究は学校経営講座という限られた条件と短かい期間でのものであり,したがって内容方法ともにモラールに関する一側面にすぎない。また調査の方法なども不足不備な点が多いものである。

そうしたことを前提としながらも,一方策として実践・研究してきた結果からみると,

[1] 学校運営の組織改善の試みとしてのプロジェクト・システムは,従来の委員会組織に類似し てはいるが,後者が年間を通し常置され固定的であるのに対し,明確な目標をめざし,期限内 遂行ということからの使命感と,タテ系列から


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