福島県教育センター所報ふくしま No.51(S56/1981.6) -013/042page
前の図は、全教師で、組織的に道徳教育に取り組んでいる例である。(南会津・下郷中)
(4) 道徳的実践力と道徳的実践の指導との関連を一層密にした計画
今回の改訂により、学習指導要領「総則」の2の後半においては、道徳教育を実施するに当たっての配慮事項を述べている。すなわち、道徳教育推進上の基盤となり前提となるものとしての人間関係の改善や、家庭・地域との協力などに一層配慮するよう明示している。ところが、率直に今までの計画を反省してみると、内的な価値の自覚のみを重視した傾向となりがちである。習慣形成とか、「しつけ」と呼ばれる道徳的実践の指導については計画の上ではすっきりしてはいるが、組織的に計画的に指導され効果を上げてきたかは反省させられる。
各校において、現にある全体計画を道徳的実践の指導計画として、見直していく場合には、道徳的実践の指導を行う機会や場、さらに指導の方法もあわせて考えておきたい。いわゆる日常生活の基本的行動様式(しつけ)について、その目標を立てる場合は、1 実行可能な目標 2 具体的な目標 3 身につくまで継続することを原則とし、全教師が同一歩調で指導にあたることが大切である。
(5) 家庭や地域との連携を深める計画
学習指導要領の総則には「………家庭や地域社会との連携を図りながら」とあり、また、指導計画の作成と内容の取扱い4には「………家庭や地域社会との共通理解を深め、相互の連携を図るように配慮する必要がある。」と述べられている。このことは、日常生活の基本的行動様式の指導については、学校教育と家庭教育の役割を明らかにし、相互に補完しあう中で道徳教育の実をあげるねらいを示している。
ところが実際には、学校のみの道徳教育の推進が主となりがちであったことはいなめない。この改訂を機会に、道徳的実践の指導計画の作成及ぴその指導に当たっては、家庭にもその趣旨を徹底し、協力して指導する態勢をつくることが大切となろう。
昭和54・55年度、文部省指定校である、古殿町立小・中学校道徳教育協同推進校においては、学校で行っている道徳教育について、家庭・地域社会の理解と協力を得るための広報活動や、「よい子の一日」として、家庭や学校での一日の生活のしかたを作成し、町内全家庭に配布し、学校と家庭とが一貫した指導にあたり実践に移されている点参考にしたい。また、地域との連携については、生命を尊重する道徳的実践の指導としての、地域ぐるみの交通安全の指導とか、郷土のまつりへの参加を通しての郷土愛の育成など、実態に即した機会や場はかなり多いことに着目したい。4.全体計画作成の実際
(抜粋 現代学校教育全集6道徳教育P90)
全体計画の典型的な構造図は上図のようになるであろう。
構造図は一般的のものであるので、形式にとらわれず、弾力的に考え、自校の特色や独自性を生かした計画作成に心がけたい。5.まとめ
道徳教育は最終的には、価値の実践化、行為化を目指すものである。価値の具体的行為化は全教育活動の中で行われるべきものであって、道徳の時間は、それを押し出す「実践力」をかん養する時間である。
道徳的実践の指導と道徳の時間の指導の関連をもう一度、見直して実践の中で、さらに改善されるよう期待したい。