福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -006/034page

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中学校教材

食物2の調理指導

  -ひき肉の調理を中心にして-

科学技術教育部 佐 藤 清 子

1.はじめに

食物の領域は,食物1,食物2,食物3の3つの小領域に分けられ,基礎的,基本的内容が系統的に学習できるように精選された。

食物2の目標は,青少年向きの献立作成及びその日常食の調理を通して,食品の性質と選択について理解させ,青少年にふさわしい食事を計画的に整える能力を養うことである。

食物2の目標を達成するためには.内容として四つの項目があり,八つの指導事項が示されているので,それらを分析し,具体的な内容を明らかにして,内容の構成や題材選定のよりどころとする。

日常食の調理についての指導事項に,「ひき肉を用いた調理ができること」があげられている。

ひき肉を用いての実習題材は,次に示す観点を考慮して選ぶようにする。

(1)青少年の栄養と嗜好(しこう)を考慮したもの。

(2)朝食,昼食,夕食などの食事としてまとまりのあるもの。1食として不足する場合には,補充するものを考えさせる。

(3)加工食品や季節の食品を加えたもの。

(4)調理の能率化を考慮したもの。上記の観点を考慮した題材例としては,ハンバーグステーキ,肉だんご,ロールキャベツなどがあげられる。

今回は.肉の組織観察とひき肉の調理を指導する際に必要な「ひき肉の調理上の性質」をハンバーグステーキを例に実験を行い,観察を試みた。

生徒の理解を助けるための資料として活用していただきたい。

2 豚肉の組織

(1)筋肉組織

試料は,豚肉のロースを用い,凍結切片の製作方法を行い,アザン染色によったものである。

写真1は,豚肉の横断面である。食用として用いられるところは,ほとんど横紋筋からなる部分である。写真で見られるように横紋筋繊維は,1個の細胞にあたり,これが50〜150本ずつ第一次内筋周膜で包まれて第一次筋束を作っている。第一次筋束が50〜70個ずつ,さらに第二内筋周膜で包まれ,第二次筋束を作る。これが多数集まり外筋周膜で包んで筋肉を形成している。

写真1 筋肉の横断面 ×100
写真1 筋肉の横断面 ×100

写真2 筋肉の縦断面 ×100
写真2 筋肉の縦断面 ×100

写真2は,筋肉の縦断面であるが,筋繊維が縦にはしり,結合組織によって結合している。

(2)結合組織,脂肪組織

結合組織は,写真1で見られるように筋繊維や脂肪を包むもの,筋肉や臓器を他の組織と結合す


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