福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -010/034page
(1)学校教育目標や努力目標の具現化
創意活動の時間の運営にあたっては,種々のねらいが考えられるが,終局的には,学校や地域,子どもの実態等に応じて作られた教育目標や,その年度の努力目標を具現化する方向で,なされなければならない。
(2)校内の指導体制の確立と指導力の向上
各学校において創意ある教育活動を推進しようとしたとき,従来に比べ指導内容も多様化し,複雑化してくることが考えられる。したがって,それらに対応できる指導組織や指導体制の確立が急務となる。
そのためには,指導体制の現状分析が必要であり,分析の観点としては次のようなものが考えられる。
[1]教師の実態にあった指導体制になっているか。
[2]教師の専門性や特性が発揮できる指導体制になっているか。
[3]協力し合い,補いあうような有機的な指導組織になっているか。
同時に,研修活動を活発化して指導内容に対応できるよう指導力の向上を図らなければならない。
そのためには単に自校だけでなく学校間の研修内容の交流や協力,あるいは地域社会の協力を得ることなどが考えられる。
(3)子どもたちの活動意欲の育成
教師からみてどんなに価値のある活動であっても,子どもたちが主体的に参加し,その活動から充実感や喜びを感じ取れるような企画でなければ,それは単に疲労感や嫌悪感を増すだけで終わってしまう。
子どもたちを主体的に活動させ,喜びを味わわせるためには,次のようなことに留意する必要がある。
[1]できるだけ一人一人の子どもの希望や願いを大切にし,その実現に寄与する活動を展開する。
子どもたちの期待にこたえた楽しい活動は,子どもたちの自我関与を高め,次の活動への動機づけとなる。
[2]子どもたちの発達や能力に応じ,でき得るかぎり選択の自由を与え,子ども自らの判断と能力・責任において行動する体験をつませるようにする。
[3]自分の力や集団のカで問題を解決し,ものごとをやりとげたという成就感や充実感を味わわせる。
活動過程においては種々の障害や困難に出合い教師の助言や激励を必要としても,それを乗り越えることによって得られる子どもたちの感動は大きく,活動意欲もいっそう高まってくる。
[4]形式的,皮相的な活動は行わないで,子ども同志の人間的なふれあいを深め,それぞれの個性や能力を生かしながら,相互協力を高めていくような活動にする。
(4)家庭や地域社会との協力強化
種々の活動の中には家庭や地域社会との協力を密にすることによって,いっそう充実するものがある。
協力や依頼をする場合に留意しなければならないことには,次のようなものが考えられる。
[1]協力や依頼する内容と範囲を明確にしておく必要がある。同時にそれはあくまでも学校が主体性をもって計画したものでなければならない。
[2]連絡の方法を明確にしておく必要がある。せっかく協力してくれる人たちがいても,連絡が不十分だったり,依頼の方法に不手際があったりすると,感情的なもつれとなって難渋することがある。
そのようなことにならないよう,常日ごろ信頼関係を十分確立しておくことが大切となる。
(5)評価の重視
実施された活動が有効であったか,形式や惰性に流れてはいなかったか,子どもたちはどう変容したか,などを適切に評価し,その結果を次回の実施計画に反映させるようにしなければならない。
そのためには
[1]計画的・継続的・客観的な評価であること。
[2]評価の結果や記録が一人一人の子どもにフイードバックされるよう,記録の整理や保管がきちんとなされていることなどが大切となる。
評価の方法としてはまだ十分確立されているとはいえないが,調査や検査,子どもたちによる自己および相互評価,教師どうしの話し合いによる評価,さらには父母による評価などが考えられる。
どの方法によるかは,活動の内容,評価の対象,学校の実態などによって変わってくる。