福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -013/034page

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<研究報告>  昭和55年度教育研究法講座

            小学校国語

文,文章をふくらませる指導

相馬市立中村第一小学校  鈴木進一

1.研究の趣旨

(1) 研究の動機とねらい

今年度から新学習指導要領が実施されたが,国語科で特徴的なことは,文章表現力が重視されているということである。

しかし,学級の作文の実態をみると,作文がきらいだという児童が多い。その理由として,どのように書けばよいかわからないとか,長い文章が書けないなどをあげることができる。このようなことから,長い文章が書けないということに焦点をあて,次のような調査をした。

(表1)作文における文数と文字数

学年

作文の題  (出典)

全体の文字数

文の数

1文の文字数

5 ビニルかけ  (東書) 1599 47 34
6 「たよる」自分から「たよられる」自分へ  (東書) 1094 30 37
6 「でぶ」でもいい  (S54,県作文特選) 1824 52 35
クラス 書くことがらを選んで  (6月下旬) 870 30 29

(S55.6調査,人数35名)

また,福島県標準学力診断テストの結果,特に正答率が低かったものは,表2の通りである。

(表2)福島県標準学力診断テストの結果

領 域

問題番号

内容

正答率

クラス

3語句を読む 三   (17) 心おきなく 46 33
3語句を読む 四   (19) ひたむき 54 43
4語句を読む 一   (22) くまなく 60 68
5文・文章を読む 五   (35) 修飾・被修飾 54 37

(S55.4.21実施 人数35名)

この表から.一文及び文章全体の文字数が少なく,また,文をふくらませるべき修飾.被修飾語についても十分に身についていないことがわかる。

そこで.文章を構成するひとつひとつの文のふくらまし方を指導することにより.長文を書くことの抵抗感を少なくし,読み手にわかりやすい文章が書けるようにするために,このような研究主題を設定した。

〈2〉 問題点

@ 一文あたりの文字数が少なく,文をふくらますことができないため,読み手にとって理解しにくい。

A義兵が不足しているとともに,感動することも少なく,観念的な表現に終始している。

彰 主語.述語,修飾語の’関係が整理されず.自分の表現したいことが.十分に表現できない。

(3)原 因

@ 日々の授業の中で,ただ書かせることだけに終始し,書けるようにするための要素を明らかにし.計画的に指導することを怠ってきた。

A 何をどのように書くのかわからないため.実際に書く場合,時間がかかりすぎ,ひいては作文に対する意欲が減少してきた。

B 自分の作文力がどのように向上しているのか.客観的に知ることができず.作文学習の目的意識に欠けていた。

C 臥 耳などの感覚器官を通して感じても.認識することが少なく.書くべき材料を見つけることができない。

このようなことから.感動的なことや印象的な事象を五感を通して認識することができるような指導を工夫し.それらを文の中に生かすことができるようにすれば.文,文章をふくらませることができるし.また,読み手にとって理解しやすい

文章になるのではないかと考え,次のような仮説を設定した。

2 仮 乱

作文の記述指導において,観察観点表を用いなが


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