福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -018/034page

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<アイデア紹介>

探究の意欲と喜びを目ざして

―理科6年「地そう」を実践例として―

西白河郡矢吹町立矢吹小学校教諭  武藤 宏

1.はじめに

私たち人間にとって,自然は,かけがえのない宝庫である。人間は,自然から多くの恩恵を受け,同時に,自然から,多くのものを学んできた。しかし,現在では,自然を軽視し,偉大な自然のカに対する「おそれ」と「うやまい」を忘れ,自然のしっペがえしを受けることが,多く,見られるようになってきた。輝かしい未来を開くには,今こそ,人間と自然とのかかわり方を真剣に,考えていかなければならない。

本校の実態として,自然環境には,恵まれており,子どもたちは,自然に親しむ機会は,多いと考えられるが,自然を相手にした遊びや自然から学びとり,それを,日常生活に生かしていこうとする態度には,欠けている面が多い。豊富な物資に,安易に埋没したり,生命の尊さを軽んじたり,自然の現象・事物に対する驚きの感情がうすかったり等,自然に,帰属する態度が不足している。

このことから,自然とのふれ合いを通して,自然の中に自分の身を委(ゆだ)ね,自然の中にひそむ,きまりや現象を見つけて利用したり,自然への適応のしかたを学びとっていく子どもを育てることが,急務ではないかと思うのである。

2 研究のねらい

(1)自然に摸する機会を,数多く持たせ,自然に対する興味や関心を高める。

(2)直接,体験させる子どもの活動場面を重視し,事実に基づいて,自分で考え,判断して,自然に潜んでいるきまりを,発見させるようにする。

(3)生物をかわいがり,生命をいつくしむ心情を育てることによって,自然に対する愛情を持つ,子どもにする。

3 研究実践のための手だて―直接,体験させる子どもの活動場面を重視した例一

直接,体験する学習の基本は,「観察する。」ことであり,それをもとに,実験を組み立てた学習指導の過程を重視していくことである。そのためには,「観察」や「実験」の役割を知って,その役割に応じた活動場面を設定し,子どもの自発的な活動に委ねることである。

(1)観察や実験の役割について

[1]事実をありのままにとらえること。
[2]問題(課題)を把握すること。
[3]問題(課題)を解決するための情報収集のためにすること。
[4]問題(課題)を解決すること。
[5]仮説を検証するために,おこなうこと。

(2)教材提示の重視

活動場面設定の重要な柱として,教材の特質を生かした提示の工夫を,考えていく必要がある。

教材そのものには,ねらいがある。子どもたちは,教材を提示することによって,そのねらいに向かって,活動をはじめるはずである。しかし,教材には,そのものが持っているねらいの他に,副次的な要素を含んでいるので,条件によって規制し,副次的な要素の方向に,学習が,進行していかないように,配慮していかなければならない。そのためには,教師は,どんな教材を,どんな観察や実現の役割を持たせて,用意すべきかに留意し,提示したら,可能な限り,子どもの自発的な活動に,委ねていくようにする。

4 研究実践の例 ―理科6年「地そう」を例にして―

(1)単元名 地そう

(2)目標

地層の重なり方,及び,地層をつくる物の様子から,地層は,水のはたらきによってできることを理解させる。

[1]けずられたいろいろな土地が見られること。
[2]けずられた土地の中には,いくつかの層からできているものがあること。
[3]地層によって,その重なり方がちがうものがあること。
[4]地層のつくりと地下水とは,関係があること。
[5]地層によって,含まれているものに,特徴があること。
[6]地層の中には,化石が含まれている場合があること。


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