福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -021/034page

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払拭できるのではないだろうか。

5 イラスト化することによる注意点と思われること

実践の上で感じた,気をつけなければと思われることを次にあげてみる。

(1)子どもたちが,イラストの良し悪しにのみ心を奪われ,心を耕やすことを忘れてしまうということがあること。

(2)イラスト化をとり入れることにのみ専念し,他の方法を用いて授業をすることなく,子どもたちから,「なんだ!またイラストをかくのか!」といわれたりすることがあること。

(3)グループを通してイラスト化させる時,ブレーンストーミング的にグループを動かさないと,ねらいが達せられない危険性がある。

(4)イラスト化することに慣れると, さほど時間をかけないですむが,この方法になじむまで,しばらく時間がかかる。

(5)中学生に対する方法としては,稚拙すぎはしないだろうか。

6 気づいたこと

実践の中で,あれこれ,これはと気づいたようなことを,ランダムに次に記す。

(1)イラスト化によって,どろどろとした まる1 抽象的イメージが登場するよりも多くは まる2 具体的イメージが登場するようである。

イラスト2

(2)イラスト化を利用した場合の指導過程指導過程のどこでも,イラスト化させることは可能と思われるが.考えをねりきたえる,話し合いの充分にできる展開の段階での利用がベストであると思う。次にその例を記す。

  (時間)
イラスト化までの過程1   (気づく) 1教師の説明 5分

イラスト化までの過程2

 

 

(感じる) 2資料を読んで感想をまとめる 10分
  3資料を読んだ感想を発表する 5分
(深まる) 4グループでイラスト化する 10分
    5イラストを発表する。(含質疑) 10分
イラスト化までの過程3 (意欲をもつ) 6小作文にまとめる。 5分
  7小作文を発表する。 5分

(3)指導はイラスト化の利用の時間だけではなく,事前,事後指導をしっかりとふまえることが大事のようである。次の流れを大事にしたい。

流れ

(4)イラスト化を利用した時のねらいのあり方は,目標行動的に具体的なものを求めたほうが,実効のあがるような気がする。

(5)イラスト化を発表させる時は,内容をイラストの中に言葉で書かせないで,口頭で言わせたほうが良いようである。

(6)1単位時間の何分かをイラスト化にとるよりも,思いきって,1単位時間全部をイラスト化にあててみるのも良いようである。

(7)資料は具体的イメージの湧きやすいようなものを用意したほうが良いようである。

(8)共感的理解に立ち,投影法的にイラスト化されたものを評価したほうが良いようである。

(9)普段,生徒とのラボートがうまくいっておればイラスト化もうまくいくはずで,豊かなイメージが醸成されるふんいきが大切である。

7 今後心がけるべき点について

留意しなければ,研究しなければと思うことを次に記す。

(1)同じような方法での他の実践研究との比較検討をすることと,心の健康法を研究すること。

道徳と学級指導とイラスト化の関係 (2)右の如く道徳と学級指導のまじわりの部分のイラスト化の研究が必要と思う。

(3)上の(2)と関連させ心の処理の一つのテクニックであるが,困難に直面して迷った時,どうしたらよいか。問題は何か,原因はどこにあるのか,解決法は何か。気のつくままに書き出し,自分にできるベストの方法は何かを選び出す。選び出したら,すぐに実践こ移す。このプロセスをフローチャート式に書かせてみたらどうかと思っている。つまりイラスト化にプラスして,心の軌跡のフローチャート式化を試みてみるつもりである。例えば次の如くである。

私はこれはまちがいと思う

なぜならこういう経験があるので

それで私ならこのようにするつもりだ

心の奇跡から次へ


イラスト化(自分がベストと思うなすべき行為のイメージをイラスト化)

8 おわりに

アイデアと言える代物には,ほど速いが,なんとしても子どもたちの今の心の荒廃状況に楔(くさび)を打たねばならないと思う祈念から,本稿をその一里塚とし,子どもたちの心の健康のために,心を耕やす方法と実践の研究を,鋭意積み重ねていくつもりである。


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