福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -022/034page

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学 校 経 営

校内研修活動におけるリーダーシップ

経営研究部 佐藤 武

1.学校経営における校内研修の見直し

学校経営は,学校教育本来の目的である児童・生徒の教育を,より効果的に達成するために,諸条件を組織・運営する日常的な教育活動である。また,校内研修は,教師の専門性を高める教師集団の組織活動であるが,その専門性が児童・生徒の教育そのものにあるとすると,学校経営における校内研修の位置づけやすすめ方について,もう一度見直すことが必要であろう。

ことに,注1「教育の本質にかかわる研修活動が組織的にすすめられ,教師が積極的な研修意欲を持つことは,教師のモラールを高める上できわめて大事である。」とする,教師のモラールと研修活動の観点から校内研修を考え直したとき,学校経営に果たす校内研修の役割は大きいものがあり,その位置づけやすすめ方に目を向け,より効果的に実践することが大切であると考えられる。

表1 学枚経営(B)講座の研究主題(昭和46年〜55年)―教務主任等延ベ306名―
表1 学枚経営(B)講座の研究主題(昭和46年〜55年)―教務主任等延ベ306名―

当教育センターの「学校経営(B)講座」に参加した研修者(過去10年間,延ベ306名)の研究主題を集約してみると,上の表1のように,教務主任等の約40%が,「校内研修に関する」研究主題を設定していることがわかる。このことは,研修者が,学校経営における校内研修の重要性を認めていることであると同時に,校内研修活動の改善・充実に役立てようとする期待感のあらわれであると受けとめることができる。

2.校内研修の内的要因

校内研修の問題点は,下の表2のように研修活動における実際の現象場面にあらわれる外的要因として,とらえられるのが一般的である。

表2 校内研修活動上の同題点(昭和54年〜55年)―教務主任等延ベ60名―
表2 校内研修活動上の同題点(昭和54年〜55年)―教務主任等延ベ60名―

しかし,原 実氏が述べている学校経営の見直しの観点(注2「学校の組織・運営を基礎的な条件に細分化し,部分的,断片的にみる静態的な考え方から,学校の組織・運営を有機的,継続的な組織相互の関連・調整の機能を重視する動態的な考え方に切りかえることが必要である。」)から,吟味,検討した場合,細分化した外的要因にこだわらず,モラールと研修活動の観点から,内的要因におさえることが,より適切な考え方であるように思われる。

注3杉山正一氏は,校内研修をすすめるにあたって大事な要件として,次の四つを挙げている。

また,注4大分県教育センターでは,教師集団のモラールに作用する校内研修活動の内的要因として,リーダーシップ,コミュニケーション,協働意欲の三つを挙げているが,校内研修活動を外面的にとらえようとせず,内面的に取り組もうとしている点に注目したい。


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