福島県教育センター所報ふくしま No.52(S56/1981.8) -023/034page
3.校内研修こおけるリーダーシップ
(1)校内研修での研修主任の役割
学校経営講座において,研修者が研究主題を設定するときは,自校の学校経営上の課題の中で,特に自分とかかわりのある課題を選択していることが,下の表3の研究主題の集約および,表4の研修参加資格の類別から推測できる。
表3 学校経営(B)講座の研究主題―昭和55・56年,(75名)―
研究主題 人数 割合 校内研修に関する 学級・学年経営に関すること
教育課程・教育計画に関すること
学校の校務・組織に関すること
教育相談の具現に関すること
生徒指導に関すること
22 18
13
10
6
6
30 24
17
13
8
8
計 75 100(%) 表4 学校経営(B)講座の研修者(教務主任等)―昭和55・56年,(75名)―
研修参加資格 人数 割合 教務主任 研修主任
学年主任
進路指導・生徒指導主任
その他
25 17
15
11
7
33 23
20
15
9
計 75 100(%) 学校経営(B)講座で,「校内研修に関する」研究主題が多く設定される背景には,参加者の中に,研修主任が増加していることと,他の主任の場合も,学校規模や学校の実情で,研修主任を兼任しているなど,学校における研修者の立場や役割が大きく関連していることが考えられる。
さて,校内研修の推進は,どこの学校でも研修主任が,その中心的な役割を負うことになるわけであるが,学校での位置づけはどうであろうか。また,研修主任自身の自覚はどうであろうか。校内研修でのリーダーの自覚と研修活動におけるリーダーシップが強く期待されるところである。また,学校経営における校内研修の重要性を考えたとき,研修主任のリーダーシップは,学校経営の改善,充実に大きな影響を与えることになる。
校内研修にかかわる三つの内的要因こついては,すでに所報47号で,その概略を紹介したところであるが,ここでは,特に,リーダーシップに焦点をあてながら,研修活動における研修主任のはたらきかけについて考察してみたい。
(2)研修活動におけるリーダーシップ
[1]リーダーシップの機能
注5「職場の構成員である職員の職務を遂行しようとする活動を促進し,目標達成の方向に誘導していこうとするはたらきかけが,リーダーシップである。」と述べられているように,組織集団の行動や活動を促進し,目標達成の方向へのはたらきかけがリーダーシップであるが,それは,地位や権力や規則のみに依存する軍隊などのヘッドシップとは異なるものである。
リーダーシップは,ともすると,管理者や特別な指導者のみが有する権力や機能と考えられがちであるが,集団活動,組織行動する人間関係の中で,必然的にできあがってくるはたらきである。たとえ小さなグループや係であっても,それが,組織としてある目標の達成を図るために行動し,活動するとき,そこには,はたらきかけるリーダーと,はたらきを受けるフォロワーとの関係ができあがり,リーダーシップがはたらくのである。なお,その組織は,フォーマル,インフォーマルにかかわらず,共通の目的意識があれば,リーダーシップのはたらきが生まれてくるともいわれている。
以上のことをまとめると,注6「リーダーシップの本質は,第一に集団や組織の中で行われるものであり,第二に相互に作用しあい,依存しあうときのパターンなのである。したがって,第三に,リーダーシップは,リーダーとフォロワーの関係でとらえられるものであり,すべての人々がリーダーになる可能性と機会をもっているといえよう。」
従来,リーダーシップについては,個人の特性にもとづく資質としてとらえたり,注7三分類(専制タイプ,放任タイプ,民主タイプ)四分類(官僚的タイプ,専制的タイプ,個人主義的タイプ)など,指導方式の型でとらえるなどの考え方があったが,これからの新しい、リーダーシップは,注8「指導者の個人的資質,特性にのみよって決定されるものではなく,リーダーを含む,全体的,社会的な状況と深くかかわりを持つ中で考えられるものであり,学校経営においては,民主的,創造的なリーダーシップが大切である。」と述べている。
[2]研修活動におけるリーダーシップ
これまで,一般的なリーダーシップの機能について紹介したが,これらの考えを研修活動における実際の場に適応しながら,研修主任のリーダー