福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -005/034page

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小学校教材

小学校低学年の合科的指導計画作成について

経営研究部  仁 科 紀 夫



1.はじめに

 学校教育法施行規則第25条の2で,「小学校の第1学年及び第2学年においては,一部の各教科について,これらを合わせて授業をおこなうことができる」とあり,今度の指導要領では,「……十分できるようにすること」となり,「できる」から「するように」と合科的な指導について積極的に取り組むべきであるとしている。しかし,合科的指導の実施状況は,全国連合小学校長全教育課程委員会の調査結果によると,24%程度で,しかもその86%は試行実施の状況であるとしており,合科的指導についての取り組みは今後一層の努力が必要とされている。合科的指導の取り組みに消極的な原因として考えられる主なことは,(1)指導計画作成の具体的な手順や方法がわからない。(2)学校全体としての研究にならず実施の自信が持てない。(3)合科的指導の効果がよくわからない。(4)時数計算や評価の方法がわからない。(5)計画的な実施が困難である,などである。
 そこで,本稿では合科的持導の推進のために,合科的指導計画の作成の手順や方法について,具体的な研究事例を紹介しながら述べてみたい。

2.合科的指導単元作成の基準

 合科的指導単元を作成する場合,どのような条件がそろったときにするのかを明確にしておくことが必要であろう。単なる思いつきや,合科的指導の推進が迫られているからなどの理由で実施することは合科的指導本来のねらいからはずれるものとなろう。そこで,合科的指導単元を作成する場合の基準としては,
(1)ねらい(目標)が合一化できるとき (共通の目標)
(2)児童の学習する場や機会を同時にした方がよいとき(共通の場)
(3)児童の生活の必要性から,総合的な扱いが要求されるとき(共通の活動)
(4)学習活動の流れの中で,合科的な指導により豊かにより発展が期待されるとき(共通の学習意欲)
(5)学習する題材(教材)の関連性や親近性をもっているとき(共通の教材)
が考えられる。
・印 合科的な取扱いのチャンス
 また,合科的指導単元作成に当たっては,各教科等の学習の進度の中で,進度の交差する機会を積極的にとらえて作成したい。
 また,合科的指導単元構成の基本的な型として,次の図のように考えられる。

合科的指導単元構成の基本的な型としての例

3.合科的指導単元作成の手順

(1)学習指導要領の目標及び内容を検討し関連性をみる。
(2)年間指導計画表(単元・教材)の作成をする。
(3)児童の学習活動を想定し,関連する内容を抜きとり,相互関連表をつくる。
(4)児童の実態を,内容習得のため,必要な知識技能,学習方法,意欲,経験等から洗い出す。
(5)合科的な指導事項を,子どもの実態に即応さ

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