福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -008/034page
中学校教材 直流増幅器の製作
科学技術教育部 小荒井 要
1.はじめに
当教育センターで実施している中学校理科講座の中で好評を博したものの一つに直流増幅器の製作がある。
これは,主として電磁誘導の指導に利用できるものであるが,大変有効に機能し,しかも安価に仕上がる点が好評の要因と考えている。
学校からの問い合わせも多いので,ここに製作要領といくつかの利用例を紹介しておく。
2.OPアンプを用いた簡単な直流増幅回路
図1は,OPアンプ741を用いた非反転増幅回路の基本型である。
図1 非反転増幅回路
(1)この回路の電圧利得Aは,
A=1+R2/R1‥…・……‥・…1
であたえられる。
回路定数を,Rl=820Ω,R2=470KΩ
とすれば
A=1+470/0.82
≒574
(2)R3は
R3=定数R1R2/R1+R2…‥……‥……2
を満足するように選んでやる。
入力バイアス電流の影響を取り除くためである。 (注)
(3)回路の中で,10KΩVRは,オフセット調整用の可変抵抗である。 (注)
(注)IC内部(図2はμ A741)の入力初段は,等しい二つのトランジスタで一つの差動増幅回路を構成しているが,仮に,二つのトランジスタが,全く同等であれば,2式を満足するR3を入れることで,入力が無ければ,出力も0という理屈になる。
しかし,現実のOPアンプでは,この二つのトランジスタは,同等ではなく,アンバランスであるのが普通である。
従って,2式を満足していても,入力が無い場合に,なにがしかの出力が現れることになる。(これをオフセット出力電圧と呼んでいる。)
741では,このオフセットを調整する回路として,10KΩの可変抵抗を外付けするだけで済むようにつくられている。)
(4)電源としては,006Pを2こ用いることにした。 まる7ピン.まる4ピンにそれぞれ,+9V,−9Vの電圧を供給する。
図2 μ A741の回路構成