福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -012/034page

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生 徒 指 導

「万引き」に関する統計表から

経営研究部  安 藤 幸 男


1.はじめに
 昭和55年の少年非行(全国)は戦後第三のピークとなり,本県の統計(福島県警本部)でも同様の傾向が出ている。その中で,特に万引きの占める割合が多いので,その特徴と動機を中心にとりあげ考察してみた。
2.少年の万引き状況とその特徴
(1)万引き少年の推移(指数で表示)
万引き少年の推移
(2)学職別状況(万引き)
   学職別

小学生

中学生

高校生

大学生

各種学生

有職

無職

男女別
総数

216

587

711

6

34

67

67

1688

(構成比)

12.8

34.8

42.1

0.3

2.0

4.0

4.0

100.0

174

471

299

2

18

25

23

1012

(構成比)

17.2

46.5

29.5

0.2

1.8

2.5

2.3

100.0

42

116

412

4

16

42

44

676

(構成比)

6.2

17.2

60.9

0.6

2.4

6.2

6.5

100.0


(3)年齢別・男女別状況(万引き)
   年齢別 12歳未満 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳

男女別
総数

167

132

226

166

295

344

245

75

38

1688

(構成比)

9.9

7.8

13.4

9.8

17.5

20.4

14.5

4.4

2.3

100.0

133

116

190

125

183

159

68

19

19

1012

(構成比)

13.1

11.5

18.8

12.3

18.1

15.7

6.7

1.9

1.9

100.0

34

16

36

41

112

185

177

56

19

676

(構成比)

5.0

2.4

5.3

6.0

16.6

27.4

26.2

8.3

2.8

100.0


(4)時間帯別・場所別状況
   発生時間帯(窃盗犯)
 
16時〜18時

25.7%

14時〜16時

23.0%

12時〜14時

11.8%

10時〜12時

9.7%

その他

29.8%


   発生場所(万引き)
発生場所(万引き)
(5)月別発生状況(窃盗犯)  多い月順
犯罪少年(14歳〜20歳未満)

12月

10月

3月

5月

2月

8月

11月

384

319

202

202

190

178

166

触法少年(14歳未満)

10月

12月

5月

11月

3月

6月

2月

151

144

104

83

76

76

75

総     数

12月

10月

5月

3月

2月

8月

11月

528

470

306

278

265

252

249



(6)統計表に見られる特徴
 ○ 万引き少年の推移表から,昭和55年は中学生,高校生の順に続き,いずれも最高を示している。小学生は昭和54年まで減少し,昭和55年には再び増加を示している。
 ○ 小・中学生は男子,高校生は女子が多い。男子は13歳〜16歳までが多く64.9%,女子は15歳〜17歳が全体の70.2%を占めている。
 ○ 発生時間帯は統計資料の関係から窃盗犯について取り上げてあるが,万引きに限って見ると15時〜18時に集中する。この時間帯は学校からの下校時刻と一致している。
 ○ デパートやスーパーマーケットからの万引きが多いのは,ヤング向けの魅力的な商品が山積され,自由に商品を手にして選ぶことができ,つい欲望に負けやすいこと。また直接被害者との対人関係が生じないことから,罪悪感をあまり感じないことがあげられる。
 ○ 月別発生状況(窃盗犯)では,2・3月が目立つ,これらの月は卒業直前で就職・進学を前にして不安感や解放感が混在する時期である。5月に多いのは,学校生活に慣れ緊張感がほぐれた時期と一致している。
 ○ 万引きは一般的に集団非行の形態をとることが多い。この傾向は女子に目立ち,年齢が低いほどその傾向が著しい。
3.万引きにおける動機のタイプ    〔註〕
(1)欲求充足型 父放任・母厳格型の家庭
  「前から欲しかった」「急にその品物が欲しくなった」……原始的な欲求の充足や満足を図るタイプ
(2)出し惜しみ型  父放任・母過保護型
 「見つからないのなら買うより盗んだ方が得」「お金を持っていたが,その品物を買うと他の欲しいものが買えなくなる」…・・・打算的な考えが大きな要素となっているタイプ
(3)体験的願望型  父・母過保護型

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