福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -014/034page
教育相談 神経症的登校拒否(Aタイプ・Bタイプ)高校生の性格特性と親の養育態度
教育相談部 渡 辺 憲 一
1.はじめに
登校拒否にはいろいろの定義づけがあるが,狭い意味では,「心理的な理由によって学校を欠席する児童生徒のうち,登校刺激に対して,特異的にすくみ反応を呈するもの」−愛知県総合保健センター梅桓 弘−があり,この定義がわかりやすいと思われる。
当センターの相談の中でも登校拒否の相談は,小中・高とも年々増加の傾向にあり,特に中・高校生の相談がめだっている。図1は,過去3年間にわたる高校生の登校拒否の相談状況(実人数)について,前東京都教育研究所教育相談部長小泉英二氏の分類(形態による分類)に従い,タイプ別に表したものである。
なお,分類の中でAタイプとは優等生の息切れ型といわれ,親からの心理的独立のざ折,自己内かっ藤の強いもの,Bタイプとは甘やかされ型といわれ社会的・情緒的に未成熟で困難や失敗を避けて,安全な家庭に逃避するものとしている。
図1 タイプ別分類状況(実人数)
(昭和53年度〜昭和55年度)
この図から明らかなように,過去3年間の相談実人数は53人で,男35人(66%),女18人(34%)と男の割合が多い。タイプ別では,神経症的登校拒否38人(72%)と大部分を占め,ついで,怠学傾向11人,一過性3人,積極的・意図的拒否1人となっている。
ここでは,55年度に当センターに来所したケースのうち,登校拒否の大部分を占める神経症的登校拒否をとりあげ,心理検査を基に,生徒の性格特性及び覿の養育態度について若干の考察を加えてみたい。
2.性格特性及び養育態度
55年度来所の登校拒否高校生の相談状況は,表1のとおりであり,神経症的登校拒否は18人である。
表1 登校拒否(高校生)相談状況(55年度)
タイプ
男
女
計
神経症的
Aタイプ
5
4
9
18
Bタイプ
4
5
9
怠学傾向
無気力傾向
2
0
2
4
非行傾向
2
0
2
計
13
9
22
22
Aタイプ(9人),Bタイプ(9人)のそれぞれについて,心理検査の結果から生徒の性格特性及び親の養育態度を次に述べてみたい。
(1)生徒の性格特性
当該生徒の性格をY−G性格検査から類型別にまとめてみると表2のようになっている。
表2 Y−G性格検査の類型
類 型 Aタイプ Bタイプ 人数 % 人数 % A:平凡型 0
0
0
0
B:不安定・不適応・積極型
1
11
0
0
C:安定・適応・消極型
1
11
3
33
D:安定・適応・積極型
0
0
1
11
E:不安定・不適応・消極型
7
78
5
56
A,B両タイプともE類型が多く,特にAタイプは8割近くを占め,BナイプはE類型についでC類型が多い。なお,図2は,12因子ごとに傾向の強い(%tile順位がD〜Coは84%tile以上,Ag〜Sは16%tile以下)生徒の数を,対象数で割り,百分率になおし,グラフ化したものである。