福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -016/034page

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研究報告

豊かな表現力をつけるための色彩指導
−生活画を通して−

いわき市立平第一中学校 教諭  小井戸 雅典


1 研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
  中学時代という多感な時代は既成の形式や概念に不満をもち積極的に打ち破りながら新しいものを生みだすエネルギーを内在している年代であるが,美術教育における作品は過去の生活経験からの表現や画一的なものが多く.新鮮味に欠け,生徒の願いや意図を表現しているとは限らない。また大胆に彩色上で自己主張することも少ない。
  そこで彩色の段階で一定の条件設定をし.その中で工夫させることにより.混色や着色技法など多面的な発見と主題にせまる表現がなされるとともに新たな体験や感動を味わうことができると考えた。

 (表1)絵画学習における題材興味調査
              (男女83名)
    構想画 風景画 人物画 静物画
好き 男子 23% 22% 0% 2%
女子 20% 25% 0% 30%
嫌い 男子 0% 2% 30% 7%
女子 6% 0% 35% 0%
どちらでもない 男子 29% 28% 22% 43%
女子 22% 23% 13% 18%


(2)問題点
 本校生徒は構想画に対する関心は大きいが表現の段階.特に彩色の方法や構成で壁につきあたってしまい自分の主題意識を素直に表現できないまま終わることが多い。特に構想画学習における問題点として着色表現上次のようなことが浮き彫りにされてくる。
 (表2)絵画学習上の問題点(男女83名)
 

問題点

男子

女子

1 彩色がうまくいかない 51% 69% 60%
2 途中で失敗してしまう 14% 15% 14%
3 構図の組み立てがうまくいかない 0% 3% 2%
4 計画どおりにすすまない 9% 5% 7%
5 途中であきてしまう 26% 8% 17%

 1 自分の思っている色がだせない。
 2 配色が計画どおりにすすまない。
 3 どこをどんなふうに彩色していいのかわからない。
 4 着色途中でつまずき製作意欲がなくなってくる。
(3)原因
  着色表現上,つまずきの原因として次のようなことが挙げられる。
 1 どこにどのような色を使用したら色どうしにまとまりが出るのかよくわからない。つまり.色数体験が不足している。
 2 より主題性を高める彩色方法がわからない。
 3 混色のくふうが不足している。

2 仮説
(1)仮説のための理論
 1 豊かな表現とは生徒が主題にせまるために強く印象に残っているものを生き生きと画面に強調されていることであり.そのために主題の表現がくふうされ計画化されていることが大切である。
 2 生徒各自がそれぞれの主題にせまるための思考過程を明確に持ち,製作することが必要である。
 3 主題のもつイメージカラーを選定するために色彩図表の製作をさせて色彩の持つ感情や性質を理解させそれを表現に結びつけること

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