福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -022/034page
さらに.深化・発展させる研究としておさえるならば.教育課程がマネジメント・サイクルに乗らない学校が多いという現状的課題に,どのように迫るかが本研究に求められるものとうけとめられる。
時まさに新教育課程実施の機であり,現場の要請にこたえるためにも、
1 教育課程経営の基本的事項の解明
2 研究協力校を核とした調査研究
3 新教育課程に関する実態調査
を主軸とした研究をすすめ、その成果や具体的資料を現場の各学校に提供し.明日の学校経営改善に役立たせることに本研究の趣旨を求めるものである。
2 研究の構想(見通し)
(1)当教育センター研究紀要第36号・第43号「学校経営改善に関する研究一学校経営評価に関する研究1・2」に論述された学校経営の概念規定.構造的把握,評価の意義づけと構想等は,本研究の基盤を形成するものであり、これにより、教育課程の経営の基本的事項を確立することができるであろう。
(2)教育課程の経営に関する諸説を吟味することにより.教育課程に関する諸問題を経営学視点から検討することができるようになり,それを通して、教育課程経営の概念規定をはじめ本研究を支える理論編をまとめることができるであろう。(第2年次)
(3)本研究の予備調査である研究協力校14校の訪問調査.ならぴに周辺校42校を含めた本調査により、県内小・中学校における教育課程経営についての実態を把握することができ.実践と理論の融合化を図った研究を推進することができるようになるであろう。
(4)教育課程に関する調査や課題解決のための具体的資料の提示、及び改善の方向性の示唆等は現場の小・中学校の最ものぞむものであり,これにこたえることにより、現場のニーズに合った研究とすることができるであろう。
(5)教育課程評価試案を提示することにより.教育課程経営の中でも最も現状的課題とされる評価が(研究の趣旨より),より客観的に行われるようになり.現場の各学校が、それぞれの実情に即して.教育課程の改善すべき方向と改善点を明らかにするのに役立つようになるであろう。(第2年次)
(6)研究協力校における教育課程評価試案に基づく実践の試みは、現在教育課程の評価にかかわる諸問題点・実施上の隘路(あいろ)を解決するものとなるであろうし、本研究の成果を左右するであろう。(第3年次)
(7)新教育課程の改善・充実を図るという意図のもとに、校長会や小・中学校教育研究会,及び市町村教育委員会等において、研究対象としてとりあげようとする研究動向や個々に研究に取り組む各学校に対し.実践的研究のよりどころとする方向性を与える一助となるであろう。
以上のような構想のもとに.教育課程の経営に関する理論及び実際について調査研究をすすめる。
3 研究の内容と方法
この研究は、3年間の期間を予定し、次の計画をたてた。
※ 1年次の研究
(1)「教育課程の経営」理論の検討
―文献研究 学説とその内容―
(2)全国教育研究所連盟主催 学校経営研究協議会 参加
―大会テーマ「教育課程のPDSと学校経営」―
(3)小学校研究協力校訪問による予備調査
―教育課程経営の実際について資料収集〜研究の意図・方向とその実際について概要把握―
(4)小学校研究協力校ならぴに周辺校の実態調査・課題把握
―実態把握と問題点に対する改善の方向性,収集事例資料の分析―
※ 2年次の研究
(1)「教育課程経営」の基本構想の設定
―教育課程経営の概念・領域等の理論整理―
(2)教育課程の経営を研究対象とする各教育センター・研究所との情報交換・資料収集
(3)中学校研究協力校訪問による予備調査
―教育課程経営の実際について資料収集〜研究内容・方法の検討―
(4)中学校研究協力校ならぴに周辺校の実態調査・課題把握
―実態把握と問題点に対する改善の方向性,収集事例資料の分析―
※ 3年次の研究
(1)小・中学校研究協力校の実践事例集
―改善の方向性の具体化―
(2)教育課程評価試案の作成