福島県教育センター所報ふくしま No.53(S56/1981.10) -023/034page
ー評価の意図・時期・内容・方法一
(3)「教育課程の経営に関する研究」のまとめ
※ 研究成果の見通し
(1)各年次ごとに研究紀要にまとめられる。
(2)研究協力校の協力をもとに実践的(現場的)問題を対象としてまとめられる。
(3)第3年次において本研究の成果をとらえる。
4 研究の基盤一教育課程の経営に関するる諸説より
※ 教育課程の管理
(1) 県教育庁義務教育課編「学校教育の手引」
教育課程の管理とは,教育課程の編成・実施・評価改善という一連の活動が適切かつ効果的に行われるよう配慮し,必要な手だてを講ずることをいう。
(2) 牧 昌見氏「現代学校経営用語辞典」
教育課程の管理とは学校における指導計画を効果あらしめるための諸条件の整備とその運営をいう。学校が教育指導を展開するに当たって、教育課程の編成.実施.評価の一連のサイクルが有効に働くことがもっとも重要である。このサイクルを効率的・能率的に動かすことが管理である。
(3) 下村哲夫氏「現代の学校経営」
教育課程の管理においては、計画一実施一評価は一つのマネジメント・サイクルとしてとらえられる。目標を定めて計画を立て.実施に移し.その結果を目標にてらして評価する。そしてこの評価が,また次の計画にはねかえるのである。こうしたサイクルは一つひとつの単元にもあり,おのおのの教科にもあり、教育課程全体にもある。教師の主体的な努力に支えられた.計画一実践一評価の日常的な積み重ねこそがやがて教育課程の改善につながるのである。
※ 教育課程の経営
(1) 安彦忠彦氏「教育学講座―教育課程の経営と評価」
教育課程を具体化する個々の活動として,教師は教育目標に照らして何を,どう教えるかを計画し,実施し,評価し.改善し,また新たに計画するという活動のサイクルを繰返すことになる。これらの活動では,人的・物的・時間的諸条件も、同じ教育目標を共通にしつつ、整備し.運用しなければならない。このことは.教師が教育課程を経営していることを示している。
(2) 高野桂一氏「学校経営の科学―経営過程論」
教育課程の経営においては,大きく分けて、1 教育課程の計画(編成)管理→2 実施管理→3 評価管理の三つのプロセス(段階または局面)が考えられる。それはトータルシステムとしての学校経営過程が計画(P)一実施(D)一評価(S)の過程構造をもつことが、サブシステムとしての教育課程の経営過程に投影された姿とみてよい。
(3) 小林信郎氏「学校経営の革新―教育課程経営の拡充」
教育課程は.教授学習活動を計画化する―実際にこれを展開する―その効果を評価しながら次の活動を計画するという,三つの段階,時間的な流れの中での基本的な三つのサイクルの上に成立する。この三つのサイクルの間に断層や断絶がなく連動・循環して目標に近づけることが課題である。
※ 経営と管理
(1) 金子孫市氏「現代教育課程論」
AdiministrationとManagementの語法は,アメリカにおいても流動的であり.従って、その日本語訳も同様といえる。
(2) 伊藤和衛氏「教育課程の目標管理」
経営と管理は,理論的には分離しうる概念ではあるが.学校経営の場合それを「経営管理」として一語にとらえることが妥当である。
(3) 高野桂一氏「学校経営の科学―経営過程論」
教育課程の経営は厳密には「経営管理」と呼ぶべきであり、広義の経営の略称に対し、その内包を具体的分節的な実現の技術として展開する場合、管理と略称される。
※ 研究の原点―研究の趣旨と理論のかかわり
計画(編成)された教育課程が.実際に組織的活動として、一時間・一時間の教育活動に展開され同時にそれが評価機能をとおしてまた教育課程―教育計画にフイードバックされる.即ち.マネジメント・サイクルにいかに乗せるかということを問題として,本研究を推進していく。