福島県教育センター所報ふくしま No.54(S56/1981.12) -006/034page

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陽の赤経を表にまとめ,1日間に移動する角距離を秒単位で表せ。
 また,各月を横軸に.移動角距離(赤経差)を縦軸にとってグラフを作り.変化を調べよ。

グラフ

 表1やグラフより,視太陽の黄道上の動きは不等速であることが読み取れ,この原因の1つに既習のケプラー第2法則が要因とをっていることに気付かせ,次の実習によってそれを確かめさせる。

3 だ円軌道による影響(中心差)を調べる。
 地球の公転軌道はだ円であるが,その離心距離は,0.0167にすぎないので.この値を用いて作図すると,平均太陽軌道と視太陽軌道が重なって,作図から中心差を調べさせることができないので,問題を浮き彫りにするため.離心率を0.11と大きくして実習さ

軌道

せる。また,平均太陽が円軌道上を等速で動いているとして,平均太陽と視太陽がともに赤経差30°を移動するに要する時間を調べ比較させ,中心差の影響を理解させる。
〔実 習3〕
1) 半径8cmの円をえがく。(平均太陽軌道)
2) 円の中心Eから1cm離れた点0を中心に半径9Cmの円をえがく。この円はEを1つの焦点とした,離心率0.11のだ円に相当する。(視太陽軌道)
3) 焦点の1つEは地球の位置であり,このE点から最短距離の点(近日点)をS 0 とするS 0 と30°へだたった径ES 1 をひき,更に,視太陽軌道までの線をのばしES' 1 を定める。同様にしてS 2 ……S 11 ,S' 2 ……S' 11 まで定める。
視太陽 がS 0 からS' 1 ,S' 2 ……と動く時間は,S' m  S' m+1 の弧の長さにほぼ比例することから,∠S' m O S' m+1 を視太陽の動きを示すものとして,それぞれの角を測り,表3に記入する。


(1)

(2)

(1)−(2)

(1)

(2)

(1)−(2)
 0°
30
60
90
120
150
180
 0°
27
55
84
115
147
180
  0°
−3
−5
−6
−5
−3
 0
 210°
240
270
300
330
360

 213°
245
276
305
333
360

+3
+5
+6
+5
+3
0

(1):∠S m ES m+1  
(2):∠S' m OS' m+1
表3 だ円軌道の影響

4 黄道傾角による影響(道差)を調べる
 均時差の生じる原因のいま一つは,天の赤道に対して,赤道は23.4°傾いているために.黄道上を太陽が等速で動いているとしても,天の赤道方向の速さに直すと,等速にはならない。したがって,天の赤道上を等速で動いている平均太陽と比べて,赤経の増加の割合が違ってくることを実習を通して気付かせる。
 視太陽の赤経増加の割合を具体的に把捉させるために,天球モデルを用いて,黄道を12等分したとき,各分点の赤経が同じ割合で増加するかを調べる。
 この実習も,実習3で離心率を大きくしたと同じように,黄道傾斜を40°と大きくとり,その影響をよりはっきりとらえさすようにして実習させる。


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