福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -005/034page
小学校教材 理科を中心とした合科的指導の実践例
第1学年 「いしころ」
科学技術教育部 川上 一男
1. はじめに
本稿では系統だった合科的指導について述べるつもりはない。随所で実践研究が進められ、成果が報告されている。しかし、あまりにも授業が複雑になってしまったり、教師の総合的な指導力が要求され過ぎたり、個人研究の域に埋没してしまったりする例も少なくない。一応児童の活発な活動を引き出すことはできたが、これがどのような知識なり能力の育成につながるのか、それらがなぜ低学年に必要をのかの理論的根拠が希薄な場合もある。あまり門口を広げないで極く必然性のある合科的指導の実践を地道に行い、児童の活動の実態や評価を明確にし、合科的指導が効果的である要因を追求していきたい。
ともあれ、本稿では「いしころ」(1年)の実践例を掲げ、合科的指導の在り方やその授業の工夫などについて考えるひとつの資料にしたい。
2.「いしころ」(1年)の授業
(1) 「いしころ」の単元についての考え
小学校学習指導要領の低学年理科と図画工作科の目標や指導内容をもとに、それぞれの素材を検討すると、理科あるいは図画工作科のどちらにも使用できる素材がかなり見受けられる。それらの素材を児童に与えて自由に遊ばせると理科の指導内容に迫る工夫をしたり、図画工作科の指導内容に迫る工夫をしたりしをがら、次々と活動を発展させる。たとえば、ゴム動力で走る車を児童に見せ、材料を集めさせて、車を作らせる。車ができ上がると速く走らせたり、遠くへ走らせる工夫をする。満足する結果がでると今度は、自分の好きな自動車へと改造していく。
つまり、スーパーカーの形にしたり、窓をつけたり、一着色したりである。そして完成するとまた、その車を走らせて遊ぶ。児童には、自分の興味や関心にも。とづいた活に続け、これは理科の学習、これは図画工作科の学習といった区別はない。
本単元も同じ素材を用いて理科と図画工作科の合科的な扱いを工夫すれば児童に活動のための時間的をゆとりを与えることができ、じっくりと楽しみながら、満足するまで活動できるのではないかと考えた。つまり、第1学年、理科の指導内容の「いろいろな石を集めたり、石を使った活動を工夫したりさせながら、石には、色、形、手触りなどに特徴があることに気付かせる」と図画工作科の同じく指導内容である「材料をもとにして、楽しく造形活動ができるようにする」を「いしころ」の単元で学習させようとするものである。
(2) 指導計画(総時数7時間)
第1次 石拾い・・・・・・・・2時間
第2次 石遊び・・・・・・・・3時間
第3次 石で形を作る・・・・・2時間
(3) 単元の概略
困難な事情を克服しても是非川原での石拾いを経験させたい。川原での児童たちは、実に生き生きと活動し、石に興味を向けさせると時間のたつのを忘れる。石積みなども小山ほど石を積み上げ登ろう;とさえする。町に住む児童は水切りがぽとんどできない実態もわかる。とにかく石を中心にして、いろいろな活動カ巧資極的にくり広げられる。最後に自分の作りたいものに必要な石やめずらしい石をリュックに拾い集めて帰校する。その石を中心に石遊びなど