福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -006/034page
の活動を通して石の特徴に気付かせていき、さらにその特徴を生かして造形活動へと移っていくというのが本単元の概略である。
1.理科から図画工作科との合科的取り扱いへ
低学年の学習では、児童が興味や関心をもつことが積極的な学習活動を促す要因である。
理科の学習において、児童を活動に熱中させるために遊びを取入れる場合がある。遊びによって児童が活発に活動しても、単なる競争やゲームに終始してしまっては意味がない。遊びの中で事象に触れる機会が多く経験できたり、目標に迫る工夫が多くなされたりするような場を設定しなければならない。
また、合科的な学習において、一つの学習場面の中で理科の目標と図画工作科の目標を位置づけることができても児童の興味や関心が一方にのみかたよってしまっては意味がない。両方の目標が同時に達成されるような位置づけが必要である。先にも述べたが、児童にとっては、ここが理科、ここは図画工作科ということは不必要で、興味をもてば積極的な学習が行われる。理科の目標や図画工作科の目標が同時に達成され得る可能性が大きいということが合科的指導にとって重要なポイントに思える。
次に、本単元の第2次めの前半の授業と第3次めの授業の様子を示す。前者が理科としての授業、後者が合科的指導をした例である。
(本時のねらい) 採集してきた石や石置き場の石を使い、転がしたり、すべらせたりする活動を通して、 石の特徴をとらえさせる。
(過 程) 学習内容・活動 時間 指導の要点・評価 (1)それぞれ拾ってきた石を見たり、見せ合っ たりして、どんな遊びができるか話し合い、 本時のめあてをとらえる。
○転がしたり、すべらせたりすることので きる石で遊ぼう。
(2)遊びの約束について話し合い、自分のして みたい遊びのできる場所に移動する。
1.遊びの約束について話し合う。
2.遊びの場所を選び、移動をする。
(3)自分の持っている石を用いて、それぞれの 遊び場所で遊ぶ。
○転がし遊び
○石けりなど
(4)どんな石がどんな遊びに適していたか語し 合い、遊びに適する石の形についてまとめる。5分
10
60
15○児童は、いろいろな遊びを考えているが、 本時は外で思いっきり石を動かして遊ぶこと に目を向けさせ、可能な遊びについての話し 合いをしながら意欲を喚起し、本時のめあて をしっかりとらえさせる。
○石を投げたり、石を相手に当てたりするこ とのないように注意をする。
○1か所に集中することのないよう場所の選 択をさせるようにする。
○遊びに最も適する石を石置き場から選んで 持って来させ、自分の石以外の石でも試みさ せるようにする。
●それぞれに石の形を生かし、転がしたり、 すべらせたりする活動を楽しくできるか。
○どんな遊びにどんな形の石が適しているか 話し合わせ、石の形の特徴に気付かせる。(考 察)
本授業は、石を用いて思いっきり遊ぷ中で、石の形の特徴をとらえさせようとしたものである。福島市内のF小学校では石を使って遊んだ経験のある児童はわずか15%足らず、それも石を用いて地面に字