福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -007/034page
や絵をかいた程度の経験でしかない。そのような児童が石を使って興ずる遊びは一体どのようなものであろうか疑問であったが、いったん遊び場に出た児童は、それぞれの遊び場所で時間を忘れるほど遊びに熱中した。遊びは4種で、1.坂を利用したボーリング 2.けんとび 3.石けり 4.石入れ である。石入れは地面に大円、小円をかき、小円に石を入れた方が得点が高い遊びである。ボーリングは本物のピンを置いてやることにより、いっそうおもしろく遊ぷことができた。それぞれの遊びをひととおりやってみるよう話したのであるが、児童の様子を見ていると男子はいっせいにボーリング遊びに興じ女子はけんとびといった具合いに分かれてしまった。石けり、石入れははみ出しでしまった児童が集まる程度で人気がない。できるだけ多くの遊びを経験させ、遊びに適する石に気付かせたかったのであるが予想に反した。男子に人気のあったボーリング遊びを見ていると結構いろいろな形の石やこぶし程の石からドッジボール程の大きさの石を持ち出し飽きることを知らないで遊んでいた。けんとびは石の形を工夫するというよりはゲームそのもののおもしろさに興じてしまっていた。最後の話し合いでそれぞれの遊びに適する石を的確に提示することができたので、一応目標は達成できた。
(本時のねらい) 石の形、大きさ、色などの特徴を生かして、いろいろなものの形を作らせるとともに、 石を使って形を作る楽しさを味わわせる。
(過 程) 学習内容・活動 時間 指導の要点・評価 (1) 自分の拾ってきた石や他の石の特徴を見て、 「石を上手に使って、いろいろなものの形を 作ろう」というめあてをとらえる。
(2) 自分の作りたいものの形について話し合い、 いろいろな形を作る準備をする。
1. 作りたいものの形について話し合う。
○ 動植物、乗り物など
2. 石選びをする。
(3) 用意した石を用い、自分の作りたいものの 形を作る。
1. 庭いっぱいに作る。
2. 残したい部分を板にはる。
できあがった作品を見て、石の特長を生かした 箇所などについて話し合う。5分
10
60
15○ 石拾い当時のことを思い出させて、自分の 作ってみたい形をもう一度確認させたり、特徴 のある石を見せてたりして、意志を高める。
○ 当初の話し合いの時のつりたいものにこだわらず、 さらに自分の好きなものを増やして作らせるようにする。
○ 石の特徴を十分生かすよう確認させる。
○ 1つの作品にこだわらず、好きなものの形をどんどん作らせるようにする。
● 自分で拾ってきた石や石置き場の石の特徴 を生かして形を作る活動が楽しくできるか。
○ 板の大きさなどを考えさせ、まとまりのある 作品になるよう配慮してやる。
理科と図画工作科の観点から話し合いを進めるようにする。(考 察)
本時は、前述のような考えのもとに理科と図画工作科の合科的な扱いを試みたものである。理科としてのいちばんのねらいは、前時までに石についての意識が高まってきたことから、さらに深く石の特徴を見つめさせようとすることであり、図画工作科としては、自然物の特徴を生かして、上手にものの形を作って楽しむということである。この単元の初めに、児童に何を作りたいかときくと潜水艦とか町とかかなり複雑なものを頭に描いているが、石を実際に手にして見てかなり変わってくる。また、男子と女子でもずい分違う。つまり、男子は船、飛行機などが多いのに女子はほとんどが動物である。生活経験の差がにじみでている。児童の作品を分けてみると括およそ次の図のようになった。