展開、資料等について問題点を整理しておくことが大切である。年度末になってから1年間の記録を整理して問題点をとらえ、改善の作業に取り組むことは容易なことではない。日・々の実践の中で反省・評価を加え、それが道徳主任または学年の道徳係のもとに集められ、問題点を整理しておけば、能率よく作業が進められよう。このことを図に示せば次のような手順となろう。
下の表5・6は道徳の時間のねらいを達成するための指導計画や指導方法について反省・評価し、授業の改善に役立てるとともに、次年度への改善のための資料とするものである。
表5 指導の実践と反省記録
項目 |
観点 |
適否 |
備考 |
主題名 |
ア. 自動に親しまれる主題名であったか? |
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イ. 道徳的な価値との関連が考慮されているか。 |
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主題設定
の理由 |
ア. 一般的な価値の具体化は適切か。 |
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イ. 地域や児童の実態をふまえているか。 |
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ウ. 時期的な考慮はなされているか。 |
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エ. 中心資料のもつ価値との関連はおさえられているか。 |
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ねらい |
ア. ねらいの表現が明瞭であるか。 |
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イ.児童の発想段階にふさわしいのものであるか。 |
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展開 |
ア. 問題に気づかせ焦点化することが容易であったか。 |
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イ. 価値を深く追求することが出来たか。 |
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ウ. 実践への意欲を高めるように構成されているか。 |
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資料 |
ア. ねらいを達成するのに適切であったか。 |
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イ. ねらいとする道徳的価値があらわれているか。 |
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ウ. 児童の興味発達に適しているか。 |
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エ. 時間内で扱えたか。 |
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オ. 児童の生活につながるものであったか。 |
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その他 |
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表6 授業記録の例
6年 |
主題名 |
くらしと時間 |
指導項目番号 |
5 |
関連項目番号 |
12、25 |
実施期日 |
5 月
1〜2週 |
指導目標 |
時間は社会生活においてどんな意義をもっているか知らせ、決まりある生活の態度を養う。 |
指導項目 |
時間の尊重 |
1時間扱い |
資料 |
規律ある生活 |
他領域の関連 |
学級指導 |
指導内容 |
1. 自分の一日の日課をふり返り、上手な時間の使い方をしているかどうか話し合う。 |
授 業 記 録 |
項 目 |
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ねらいは達成するのに適した資料であるか。 |
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子どもの達成段階、生活経験に適した資料であるか。 |
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話し合いの参加のようすはどうであったか。 |
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自分たちの生活に生かしていこうとする意欲が見られたか。 |
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その他気のついたこと |
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改訂のための資料、他 |
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※ 授業記録の記入について |
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1 各項目ごとに |
○・・・よい |
△・・・ふつう |
×・・・悪い |
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(1) 指導内容について記入 |
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(2) ×を記入された場合、特に気のついた点 |
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(3) その他 |
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(1) 具体的に記入すること (どんな資料を使った等) |
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(2) その他、気がついたこと |
※ 授業記録は、学学級担任が全員記入し、学期ごとに学年で集約する。 |
表5,6 「道徳指導の計画と展開 竹ノ内 一郎」 |
(2)改善のための観点を立て、全教師の参加によって、改善を進める。
改善の観点について、全教師が共通理解し、それぞれの実践を通して改善の作業に参加することが大切である。たとえ、十分でない年間指導計画でも、すべての教師によって作成され、改善の作業の中で参加と協力が得られれば、実質的な年間指導計画として、すべての教師の必要感に支えられ活用されるものとなろう。
下の表7は、年間指導計画の改善のための観点として考えられるものである。学期ごと、または学年末等に学年会や校内において、日々の実践をもとに、反省・評価し、次年度の計画立案に生かすことが大切である。
作成過程としての観点 |
項 目 |
評価 |
1. 年間指導計画を作成する基盤であるところの全体計画が明らかになっているか。 |
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2.学校や地域の実態が正しく把握され、 それが十分生かされているか。 |
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3.作成の手順や、校内組織運営が適切であったか。 |
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目標や内容の観点 |
1.学校全体の道徳教育の基本目標が学年ごとの重点目標に細分化され、系統的に組織づけられているか。 |
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2.主題のねらいや展開の内容が、学年の発達段階に即しているか。 |
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主題についての観点 |
1. ねらいは、学習指導要領「第2内容」の括弧書きが十分考慮してあり、児童・生徒にとって適切なものとなっているか。 |
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2. 資料が、ねらいや児童・生徒の実態などからみて適切であるか。 |
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3. 指導方法の特質を踏まえて、有効に組織化されているか。 |
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4. 主題に対して、時間配分が適切になされているか。 |
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5. 主題名は適切か。 |
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6. 年間配列について、学校や社会の行事、 季節による生活の変化、あるいは、指導の難易などを配慮して適切にされているか。 |
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おわりに
年間指導計画の改善に当たっては、第一に、1時間の指導をしたあと、少なくともねらい、展開、資料等について、児童・生徒の反応をもとにして、簡単な反省を記録に残して改善に備える。空論でなく、実践に基づいた改善をするよう心がけたいものである。
第二に、主任がひとりで改善するといった方法は避けたいものである。直接的な協力が得られないとしても、学年会、全体協議会等でみんなにはかり、関心をもってもらい、できるだけ協力してもらえるようなふんいきづくりをすることを忘れないようにすることが大切である。