福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -014/034page
を生かすための実践) 1〜3 ・ 総まとめ・研究報告書作成 6. 第1年次 昭和54年度(実践 I)のねらい
各教科に共通する指導法や評価の基礎理論とその実践について研究し、すべての教科が、自然学級の中で生徒一人ひとりの学習を成立させる指導法に重点をおいた。その基本的視点は、
- 習熟度に関する概念の把握
- 生徒一人ひとりの意識、学力の把握
- 教材の分析と構造化
- 全生徒に達成させるべき到達目標の設定
- 自然学級の中での習熟度に応じた個別指導法の工夫
- 評価 (特に形成的評価)
7. 第2年次 昭和55年度(実践 II・III)のねらい
- (1) 学習指導
- 習熟度に応じた指導法の個別化の工夫と評価(形成的評価)の研究を深めた。なお家庭、体育、芸術については、習熟度の度合いの差が小さいこと、個別化がかなり進んでいること等の理由により、実践 I・IIIの対象から省いた。
- (2) 習熟度別講座編成
- 教材に系統的要素が多く、ある一定の段階で集中的に指導する方式がより効果的な、しかも学習内容の習熟度の差が大きいとみられる数学、英語の二教科で講座編成をとり入れ研究した。なお、習熟度の測定や、指導内容の系列化自体が複雑で困難を伴い、しかも多様な個性や能力をもっている生徒が、相互に刺激しあって学習ができる国語、社会、理科に拾いては実践 I にひき続いて、自然学級内での学習の個別化をより一層深化させる指導法の研究を進めた。
- (3) 教育課程
- 昭和57年度からの新学習指導要領を展望し、実情に即した教育課程編成の研究を進めるために、教育課程改善への視点を明確にし、それに沿って、理想的な形を求めつつも、現在の諸条件のもとで、どこまで具体化できるかを検討した。
8 . 各教科
○ 国語科 課題学習と発問の工夫を通して、個別化をはかるための学習指導法一現代文において説明的文章の読解力をつけるにはどのような指導をすべきかー
- (1) 研究主題設定の理由と研究内容
- 国語科では54・55年度の2ヶ年にわたり、学習 指導法に関する研究指定のテーマに沿って 研究を進めてきたが、個別化を図るために 課題を与えた学習と発問のしかたを工夫した 指導を、現代国語の授業(説明的現代文)に絞って 、次のような内容で深めることにした。
- 1.
- 社会人として日常触れる程度の説明的文章を読みこなすことのできる基本的能力をつける。
- 2.
- 授業における学習到達度の確認をするとともに、個人差を配慮した個々の学習到達状況を確認する。
- 3.
- 課題を与えた学習を通して・積極的・意欲的な学習態度を促す。
- 4.
- 発問の工夫によって学習に手がかりを与え、思考の道すじを示し、個別的には達成感・成就感が体得できるようにする。
- (2) 研究のまとめ及び反省と今後の課題
- 54年度では、学習到達度の確認が十分でなかっ たこと、意識調査の実施ができなかったという反 省があったので、55年度はその点を更に深めた。
- 1.
- 実態調査・意識調査の結果、説明的文章の読 解力は相対的に向上しているが、国語学習全体 のものになりきっていない。今後は文学的文章、 言語事項の指導、学習個別化のあり方も含めて、 総合的に検討工夫が必要である。
- 2.
- 個別化の方法として学習課題を与え、添削指 導や個別指導を実施し、自己診断カードの活用 によって生徒一人ひとりが学習目標に大して自 己評価できる方法をとった。その結果、問題点 や難点の把握ができるようになった。
- 3.
- 発問の工夫を行った結果、指名発表や挙手発 表によって授業参加ができるようになった。が、 発問や課題だけを用いて行ってきたのであるか ら、必ずしも十分に個別化を図ってきたとは言 えない。
- 4.
- 今後は説明的文章についての学習到達目標を より具体的に設定し、一人ひとりの学習状況に 応じた到達目標を段階的に示してやる方法や、 習熟度の程度に応じた到達目標を設定すること の工夫が課題となるであろう。
○ 社会科
(1) 54年度の研究主題と主旨一発問を中心とする