福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -017/034page

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れた学習指導の研究。
英語科では54年から学習指導法に関する研究指定のテーマに沿って研究を進めてきたが、その理由と経過を記す。

(1) 研究テーマ設定の理由

1. 高校入学時の英語学力の個人差がある上に、高校における教材の質量にわたる増加と難化によりますます個人差は拡大し、一斉指導を主体とする自然学級のみでは、大きな学習効果は期待できなくなっている。
2. 自然学級の枠内では、指導の重点が学力の低い生徒にかかりがちになり、比較的学力のある生徒を更に伸ばす点では不十分であった。
3. よって、習熟度別講座による指導が提案きれ基礎的・基本的な学習事項を精選し、これを1年間の視野でとらえて配列し、毎時間の学習の中に明示した。指導形態としては、自然学級を主体とし、一部を習熟度別講座による指導をとり入れ、個別指導の強化をはかることにした。

(2) 研究のねらい
1. 習熟度別講座を設け、生徒の学力に応じた教材と方法をとり入れ、いっそうの学習効果を期待する。
2. 特に、学力の低い生徒の脱落をくい止め、3年間の英語学習に取り組ませたい。

(3) 研究対象 1年生全員(英語 B) 一群法

(4) 研究の内容
1. 学力診断テスト
2. 教材の分析と精選
3. 到達目標の提示(例示は紙面の都合上略す)前項、2.を受けて、毎時間の教材の到達目標を生徒に提示する
4. 習熟度別講座編成
希望を優先させる。2つの自然学級(HR単位)を、基礎講座(A) 1つ、普通講座(B) 2つ、合計3講座に分けるが、この場合、人数を機械的に3等分せず、(A)を少数に抑えるようにした。
5.授業と教材
使用テキスト、開隆堂 Shorte Erlish Reaaers。自然学級での学習内容について、基礎講座ではその復習を主とし、基本的事項の演習をとおして定着をはかった。普通講座では、復習に加えて、やや応用的な問題演習を行った。
授業と教材

(5) 実践結果の考察
1. 基礎講座の大部分の生徒は、むしろ積極的にこの1時間の授業に参加し、平常の教師主導型の授業を避け、生徒の活動をより多くしたため、充実感、成就感を味わっている。
2. 講座別にすることで懸念された意識、心理の問題は、今のところない。今後も講座編成による授業を続けてほしいとの声が多かった。
(実態調査、紙面の都合上略す)

(6) 2年英語科(2年1コース2学級)
1.講座編成(2学級を3講座に分割)

講座 A 講座 B 講座 C
20人 35人 35人

講座 A − 基礎力が不足し、上記以外の進路の生徒を主体にした講座
講座 B − ある程度基礎力があり4年生大学進学を目指す生徒を主体にした講座

2.実践:週2時間の文法の授業を講座別編成による習熟度別学習にあてた。

9. 反省と今後の課題

(1) 学習指導法の改善
学習内容の習得を確かなものとするため、到達目標を設定し、形成的評価を重視しながら学習指導を進めた。このことにより、つまずきを発見し、それぞれの生徒に即したより適切な指導方法を求めることができた。
数学・英語の講座編成は、一応の成果があったと考えられる。しかし白然学級、講座編成を問わず、学習集団の中での個別化のより一層の工夫が必要である。

(2) 評価
認知的領域面の形成的評価については、一応の成果をみたが、情意的領域面の評価・伸長度の評価など、評価の構造化を図っていく必要がある。具体的には、自己評価、相互評価、学習参加度、課題発見と解決への意欲、意識の変化、伸長度、到達目標への到達過程など細かな観察項目を設定し、多面的包括的に客観化できる評価基準を考えるべきである。


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