福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -006/042page
中学校教材
言語活動中心の授業実践をめざして
教科教育部 酒 井 義 浩
1. はじめに
新学習指導要領が完全実施となった昨年度の授業実践の反省に基づいて,英語科においては,どうやら指導法の思い切った転換に迫られてきたことは事実のようである。
そのためには,まず学習指導要領を正しく読みとり,目標をしっかりふまえた上で,具体的な指導事項となる言語材料を掌握し,表現力の育成を図るための言語活動を,生徒の実態に即して,意図的・計画的に行わなければならない。
また,基礎的・基本的事項を確実に身につけさせるための教材の精選や,学習指導過程の中での評価,情意面への配慮,家庭学習のさせ方等々,特に留意が必要であろう。
以下,言語活動中心の授業実践をめざしての一考察として述べることにする。
2. 言語活動を中心とした年間指導計画
年間指導計画は,学習指導要領に示されている目標に迫るため,各学年の内容を発展的に指導できるように年間にわたって配列した各領域,各学年の指導計画である。
ところで,従来の年間指導計画は,単なる言語材料の羅列であったので,実際の授業を行う上では具体的に生かされず,進度の確認程度に使用されていたのではないかと反省している。
そこで,利用度の高い,親しみやすい年間指導計画の必要性が出て来るわけである。しっかりした計画のないところには,充実した授業実践の継続は無理であろうし,「週三時間」への正しい対処もできないと思う。前年度の反省に基づいて教科部会で十分話し合い,各領域,学年等の連携・協力を密にしながら,地域や学校の実態に即した,よりよい計画の作成に努めなければならないと考える。
このあたりで,言語材料を教え込む学習活動中心の計画から,言語の実際の使用につながる表現力の育成をめざしての言語活動中心の計画へと移行しなければならないと考え,下の表1にその例の一部を示した。
次に,作成上の留意点を述べ,考察する。
ア 題材そのものからくる内容を明示することは,言語活動を円滑に行うため,あるいは他教科との関連上大切である。
イ 各Lessonの内容上の目標を(〜を読みとらせる、〜に気づかせる,〜を理解させる,〜を書こうとする意欲を持たせる,〜を感じとらせる)等の表現で,言語材料からくる目標とともに提示しておくようにする。
ウ 言語材料については,学習指導要領を正しく読みとり,地域や学校の実態に即して,理解にとどめるものと表現できるようにさせるものとの区別を示した計画とすぺきであろう。
工 指導内容の項目については,学習指導要領の趣旨等